フォーミュラE ステアリングホイールの構造

フォーミュラE ステアリングホイールの構造

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フォーミュラEのステアリングホイールには、サーキットナビゲートだけでなく、戦略、コミュニケーション、オーバーテイクのためのツールでもある。
FIAフォーミュラE選手権の全ドライバーが手にしているホイールの重要な要素を紹介する。

元フォーミュラEチャンピオンのルーカス・ディ・グラッシは、攻撃・防御以外にも、レース戦略やドライババランス等のすべてをコントロールするステアリングホイールは、マネジメントが重要になっているフォーミュラEの戦場では欠かせない武器となっていると語る。

24人のドライバーがグリッド上にいるため、それぞれのステアリングホイールはレーススタイルに合わせて細かく調整されている。
各チームの仕様は少しずつ異なるが、今回はドライバーたちがどのようなことをステアリングで行っているか大まかに紹介していく。

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マルチスイッチ

マルチスイッチと呼ばれるこれらのスイッチは、ドライバーがその場で様々なマッピングを適用できるようになっており、45分間のレース中に様々な戦略やエネルギー管理の設定をすぐに調整できるようになっている。
ドライバーは、壁に囲まれたサーキットでライバルたちと戦いながらこれらを操作しなければならない。
日産ドライバーのセバスチャン・ブエミとオリバー・ローランドは、マルチスイッチがホイール上で最も複雑なコンポーネントのひとつであると語った。

「マルチスイッチは最も複雑なものです。10個の項目があり、その中には20個のオプションがあるからです。どのような選択も慎重に行わなければならないことを意味しています。設定の変更は短いストレートで全て行わないといけないので、集中力を維持するのは大変です。なので、今走っているストレートでスイッチを変えつつ、次のストレートではこの設定を変えよう、と考えなければならない。」

DSテチータのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタもまた、これらのスイッチの一つには、彼のお気に入りのモードの一つである「250kW」のフルパワーが搭載されていることを強調している。

「私が最も気に入っているのはQモードです。これは予選パワーモードで、250kWのパワーがある。それから下にレース1、2、3、4がある。レースの可能周回数を減らしたり、増やしたりすることもできるんだ。」

ATK

ATKはアタックモードの略称だ。
レース中に使用されるアタックモードは、ドライバーに35kWの追加パワーを与える。
このボタンはアクティベーションゾーンに入るときに押す必要があり、これを見誤るとドライバーは追加のパワーブーストを失うだけでなく、タイムやレースでのポジションさえも失うことになる。
面白いことに、DSテチータのステアリングホイールには、「MK」または「Mario Kart」と表示されている。
ドライバーはより多くのパワーを求めているが、セバスチャン・ブエミはこのボタンが特にお気に入りだ。

RAD

ドライバーはレース中、レースエンジニアと常にコミュニケーションを取りながら、画面に表示される情報を常に確認し、サポートが必要になったときには声をかける。
ローランドがは以下の様に語った。

「レース中に技術的な助けが必要になることもあるし、ちょっとしたアドバイスが必要になることもある。エンジニアがいなければ、同じ仕事はできなかったと思う。」

フォーミュラEアプリでは、すべての無線を聞くことができる。

パドル

ステアリングホイールに複雑さを加えているのが、裏側にあるマルチパドルだ。
その中でも特に重要なのが、リジェネ専用のパドルだ。
フォーミュラEではドライバーがブレーキをかける前に、アクセルを離して電力を節約する必要がある。
その際にこのリジェネパドルを引くことで、エネルギーを回収し、減速しながらバッテリーを充電することができる。
ブレーキペダルは、必要に応じて余分な動力を抑制するために使用する。
フォーミュラEではバッテリーの使用量が計算されており、レース終了時には空っぽに近い状態で走行している。
そのような状況下において、ドライバーはこのパドルを使用してチェッカーフラッグまで走り続ける。
ホイールには、戦略を素早く変更するためのオプションが用意されており、これらはスイッチで選択したオプションと連動している。
設定の仕方によっては、レーススタートのためのローンチモードや、パドルで起動できるFANBOOSTも用意されている。

+/-

ホイール上のプラスとマイナスのボタンは、ブレーキバイアスを調整し、フロントとリアのブレーキ比を調整する。
これにより、ドライバーは走行中でもブレーキバランスを調整することができ、コース上の各ターンに適したブレーキバイアスを得ることができる。
リアに寄り過ぎると、マシンのリアタイヤがロックしてスピンしてしまう。
逆に、前に寄り過ぎるとフロントがロックしてコーナー進入時に真っ直ぐ進んでしまう。
両サイドを壁に囲まれた状態での走行となるフォーミュラEでは、即リタイアになるリスクがある。
ダ・コスタは以下の様に語った。

「このボタンを押すと、各コーナーの感覚に応じてブレーキバイアスを前か後ろにかけることができるんだ。私にとってはとても便利な機能です。」

スクリーン

ステアリングホイール上の情報表示画面。
ここではタイヤの空気圧、ブレーキの温度、速度、出力、バッテリーの状態、航続距離、エネルギー消費量など、ドライバーは大量のデータを収集する。
ガレージへのテレメトリーがないため、この画面は重要な意味を持っている。
ダッシュボードには多くの極秘情報が含まれている。
ダ・コスタは以下の様に語った。

「レースに必要な多くの情報が入っているので、レースを走るのに役立ちますし、少し先の計画を立てるのにも役立ちます」

FCY & PIT

FCYボタンとPITボタンは全車に搭載されており、どちらもサーキットがフルコースイエローの状況下にある場合や、ピットに出入りする際にドライバーが安全な速度で走行できるようにするためのスピードリミッターとして機能する。

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