フォーミュラEと電気自動車の進化 2014~2023
2014年に開催された初のフォーミュラE選手権レースの際は、電気自動車技術は黎明期にあった。
しかし、8年間のストリートサーキットでの経験によって、世界中の都市の大気環境を改善する目標のもと、道路を走る電動技術は大幅に向上した。
2014年のGen1から2023年のGen3では大きな性能の違いがある。
2014年当時に使用されたGen1マシンの最大出力は200kW、最高速度225km/h、100KWhの電力を回生する性能を持っていた。
当時としては印象的なGen1マシンは、それまでのモータースポーツとは一線を画し、世界の大都市を駆け抜ける姿でファンを獲得していった。
2018年に登場したGen2では、250kWのパワートレインを搭載し、最高速度280km/hを達成した。
また、1レースの距離を走りきれるだけの大容量バッテリーを持つなど、技術はさらにステップアップしていった。
シャシーも大幅に変更され、全く新しい大胆なビジュアルは、他のフォーミュラカーとは違う印象を与えた。
足回りにも変更が加えられ、より頑丈でバトルのしやすいレーシングカーとなった。
Gen2ではフォーミュラEの全く新しい時代の到来を告げ、BMW、アウディ、メルセデスEQ、ポルシェ、DS、ジャガー、マヒンドラ、日産、NIOがシリーズの成長とともに戦いを繰り広げた。
Gen2マシンは、2022年の最終戦までの4シーズン使用され、4人のドライバーが選手権チャンピオンに獲得した。
そして2022/2023シーズンからは待望の新型車Gen3が登場する。
350KWのパワー、320kmhの最高速度、600KWhの驚異的なエネルギー回生が可能な車両だ。
Gen1マシンに比べ、Gen3マシンは75%パワーアップし、最高速度は95km/h、電力回生能力は6倍となる。
同時に軽量化と小型化も行われ、加速性能や運動性能はパワートレインの出力以上の変化となる。
Gen3が導入されるシーズン9は、ポルシェ、DS、ジャガー、マヒンドラ、NIO、日産、マクラーレンなどのメーカーが参戦を表明しており、世界10カ国以上の都市でレースを行うグローバルシリーズとなっている。
市販車も時代と共に大きく変化してきた。
Gen1が登場した頃のEVの販売台数が50万台以下だったが、2021年の時点で世界のEVの販売台数は1220%増の660万台に達している。
低炭素型EVの普及により、世界の交通機関は徐々に低排出ガス型へと移行し、都市の大気環境改善にも貢献している。
フォーミュラEは世界で使用される電気自動車技術を開発し、磨くための触媒としての役割も担っている。
シーズン5からシリーズに参戦している日産は、レースで学んだことを「日産リーフ」に応用している。
一見全く関係の無さそうなファミリーカーだが、リーフのバッテリー容量は、2014年の22KWhから2022年には62KWhと大幅に増え、約180%も増加している。
バッテリーの増加と合わせて、リーフの航続距離は2014年の135kmから2022年には384kmと184%伸び、1回の充電で走行できる距離が増えた。
これによって、通勤や長距離移動の際に内燃機関自動車に代わる現実的な選択肢となった。