フォーミュラEの進化

フォーミュラEの進化

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FIAフォーミュラE選手権は6シーズンを終え、6年間でテクノロジーは常に進化し、革命的な変化を遂げてきた。

2014年のシーズン1では、フォーミュラEはモータースポーツ界初の全電動オープンホイールマシン「Gen1」で革命を起こした。
その後の進化により、レース中にマシンを交換する時代に別れを告げ、シーズン5のGen2導入によりピットストップは無くなった。
バッテリーのサイズと重量はGen1とほぼ同じであるにもかかわらず、より多くのパワーと約2倍の使用可能なエネルギー容量が得られ、航続距離は2倍になった。

レースペースとパフォーマンスも向上している。
シーズン1とシーズン6とでは、レース中の出力が180kWから200kWにアップ。
そして予選モードは250kWと大幅に上がった。
これにより、0-100km/hの加速性能は0.2秒短縮され、現在は2.8秒となっている。
そしてトップスピードは従来の225km/hから280km/hに大きく上昇した。

Specifications Gen2 Gen1
全長 5160mm 5000mm
全幅 1770mm 1780mm
全高 1050mm 1050mm
フロントトラック 1553mm 1528mm
リアトラック 1505mm 1492mm
車高 75mm (max) 75mm (max)
ホイールベース 3100mm 3100mm
最低重量 900kg (battery 385kg) 880kg (battery 320kg)
最高出力 250kW, (335bhp) 200kW, (270bhp)
レース出力 200Kw, (270bhp) 180kW, (240bhp)
最大回生 250kW 150kW
最高速 280km/h (174mph) 225km/h (140mph)
0-100km加速 2.8s 3.0s

進化と革命

Gen2への車両更新よりも前に、Gen1自体にも多くの変化があった。
初年度は完全なワンメイク状態であったが、シーズン2からはモーター、インバーター、ギアボックス、リアサスペンションなどをメーカーが独自に設計できるようにレギュレーションが開放され、パワーも170kWに引き上げられた。
シーズン3ではGen1のリフレッシュが行われ、フロントウイングのデザインが一新され、ストリートレースの厳しさにも対応できるようになった。

シーズン4ではGen1最後のシーズンとして改良型Gen1でレースが行われた。
そして、シーズン5からは多くの変更を加えたGen2が登場し、充電でフルレースを走ることができるようになり、Gen1よりもはるかに速くなった。

FIAが義務づけたハロデバイスの採用など、安全性の向上も図られた。
また、ピットインがなくなったことにより失われる戦略性を高めるためにアタックモードが導入された。
シーズン6でアタックモードはさらに強力なものとなり、225kWから235kWへとパワーアップした。

市販車へのフィードバック

フォーミュラE選手権が開始されて以降、電気自動車のモデル数は6倍に増加し、ヨーロッパでは175台以上が販売されるようになった。
Gen1からGen2へと大きく進化のと同様に、市販EVの技術も進化を続けており、航続距離やバッテリー容量も飛躍的な進歩を遂げている。
例として、2020年モデルの日産リーフは、初代である2015年モデルに比べてバッテリー容量と航続距離が約3倍になっている。

また、欧州でのEV充電器の数は3倍以上に増え、現在では欧州全土で約17万台が稼働している。
今後、更なる技術の発展に伴い、電気自動車はより速く、より遠くまで行けるようになるだろう。

アウディのフォーミュラEドライバーであるルーカス・ディ・グラッシは以下の様にコメントした。

「電気自動車の開発ペースは信じられないほど早いです。電気自動車がガソリン車よりも安くて安全で、操作も簡単にできるようになる日はそう遠くはないでしょう。人類のより良い、クリーンで安全な未来を創造するために、人は利便性や必要性、そして自分にとって最も安くて最善の解決策を自然と求めるようになるでしょう。なので、現在のガソリン車とのギャップを埋めていく必要があります。」

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