コンセプトからリアルへ ジャガーI-PACE
今回は、フォーミュラE選手権で活躍する自動車メーカーが作る、最新の電気自動車のデザインについて掘り下げていく。
ジャガーの完全EV
ジャガー初の完全電気自動車がどのようにして誕生したのかを見ていく。
ジャガーのエクステリア担当であり、チーフ・クリエイティブ・デザイナーのドミニク・ナジャフィは、ロンドンのデザインミュージアムでインタビューに答えた。
「クルマのデザインとプロポーションは、ブランドイメージを世界に伝えるだけでなく、そのクルマが何のためにあるのか、誰のためにあるのかを説明します。」
ジャガーが2016年のロサンゼルスモーターショーで初めてI-Paceのコンセプトを公開したとき、ジャガーにとって本格的なEV業界への出発を意味していました。
完全電気自動車の世界にジャガーが初めて進出しただけでなく、コンセプトカーはそれまでのデザインとは一線を画していました。
このコンセプトカーが発表されてから4年が経過した今、ジャガーはフォーミュラE選手権の初の公式サポートシリーズとして、「I-PACE eTROPHY」を開催している。
近接戦闘の激しいストリートレースが展開さて、今季のフルシーズンをすでに終えている。
それでは、このクルマがどのようにして誕生したのかを振り返っていく。
ドミニク・ナジャフィは以下の様にコメントした。
「過去の車を振り返ってみると、ジャガーのEタイプのように、長いボンネットであったり、フロントエンジンをであったりと、統一性があり、このデザインは馬車に由来しています。昔は裕福であればあるほど、馬車を引く馬の数が多くなりスピードが出ていました。フロントエンジンのスポーツカーのフェンダーラインから長く伸びているのは、馬からキャブにつながる手綱のようなものです。」
「エンジンがドライバーのすぐ後ろに鎮座するミッドエンジン車ではボンネットが非常に短い。このデザインはモータースポーツでの優位性やパフォーマンス向上に由来しています。そして、電気自動車になると、突然全く新しいデザインのチャンスがやってきます。自分たちのやりたいことができるんです。大きなエンジンがなければ大きなボンネットは必要ありませんし、キャブのプロポーションを変える必要もありません。」
2018年のジュネーブモーターショーで初の市販車「I-PACE」が公開された際、ジャガーのデザインディレクターであるイアン・カラム氏は、ミッドシップのスーパーカーから一部インスピレーションを受けていることを明らかにした。
「我々は”ジャガー”なので、そのプロポーションは刺激的でなければならなかったのです。我々のハイブリッドスーパーカーのコンセプトであるC-X75にインスパイアされたキャブフォワードを開発しました。」
I-PACEの電動パワートレインは競合車との差別化を図りながら、この車に独特の視覚的な存在感を与えている。
「I-PACEのパワートレインは、これまでにない自由なデザインを提供してくれました。劇的なキャブフォワードプロファイル、ユニークなプロポーション、卓越した室内空間を実現しました。」
現在、ジャガーは「パナソニック・ジャガー・レーシング」として成功したフォーミュラEチームとなっている。
同じストリートサーキットで開催されるI-PACE eTROPHYサポートシリーズによって、電動化の未来にジャガーは大きく貢献しており、今後数年の間にジャガーから多くの電気自動車が登場することが期待される。