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フォーミュラEは世界的な健康危機の中でシーズンの中断を余儀なくされているが、そんな状況でもユニセフを支援するために新たに開催されているバーチャルレースである「ABB Formula E Race at Home Challenge」のチャンピオンシップ第8戦が行われた。

リアルドライバーレース

「ABB Formula E Race at Home Challenge」は毎戦2つのレースを行う。
ひとつはリアルでフォーミュラEのドライバーを務めるプロレーサー達のリアルレーサーレースセッション。
もうひとつはオンライン予選を勝ち抜いたシミュレーターレーサー及びゲスト達のチャレンジャーレースセッションだ。
今回のレース週末は、第7戦と最終戦である第8戦を同じ週末に行うダブルヘッダーとなっている。
そして第8戦はポイントが二倍になるダブルポイントレースとなっているため、最後の逆転も可能となる。
リアルドライバーレースシリーズでのランキング争いはパスカル・ウェーレインとストフェル・バンドーンが大接戦状態となっている。
序盤戦に好調だったマキシミリアン・ギュンターは後半戦で不運も重なり失速。
それでもシリーズランキングでは上位をキープしている。
この3人がチャンピオンを争い最後のレースに挑む。
しかしギュンターはポイント差が大きいため、実質バンドーンとウェーレインの一騎打ちとなる。

ベルリン市街地

シリーズ最終戦はドイツのベルリンへ。
舞台となるテンペルホーフ空港は、実際にフォーミュラEのレースが行われているサーキットである。
この空港は既に2008年で閉鎖されており、現在は使われていない。
全長は2.375 kmでターンは全部で10か所。
特徴的なのは路面がアスファルトではなくコンクリートであること。
そしてコーナー途中で形状が変化する特徴的なコーナーがあることだ。
また、セクター1には一部屋内を通過する珍しいセクションが用意されており、現実通りに再現されている。
直線も比較的長いので、ホームストレート後のターン1での飛び込みがオーバーテイクポイントになる。

レース前

最後の予選セッションを制してポールポジションを獲得したのは、日産e.damsのオリバー・ローランドだった。
ランキングトップのパスカル・ウェーレインは2番手グリッドに着け、チャンピオンの可能性を高めた。
そのウェーレインと僅差の争いをしているメルセデス・ベンツのストフェル・バンドーンが3番グリッドへ。
僅かな可能性が残されているBMWのマキシミリアン・ギュンターが4番手と、シリーズを牽引してきたドライバーが上位を占めた。
まさに最終決戦に相応しい舞台となった。
最も注目されるウェーレインとバンドーンは14ポイント差の僅差でチャンピオンシップを争っているが、その二人が2番手と3番手に着けたことでシリーズ勝者は分からなくなった。

決勝

トップのローランドはクリーンなスタートを見せ、単独でターン1に入ることに成功。
後ろのウェーレインはバンドーンと激しいポジション争いを繰り広げ、並んだままコーナーを抜ける。
更にその後ろではモルタラが無謀な飛び込みでギュンターを押し出してしまい、揃って大きくポジションを落とした。
変わって4番手に上がったブエミだったが、バンドーンをプッシュしたことでのバンドーンがウェーレインのリアにヒット。
このアクシデントでウェーレインはコースを塞ぐ形でスピンしてしまい、最後尾付近までポジションを落としてしまいチャンピオンが一気に絶望的となった。

トップのローランドはレースをコントロールし、2位のバンドーンもポジションをキープすればチャンピオン獲得となるためアタックを控えて落ち着いたレース運びをしていた。
一時は最後尾付近まで落ちてしまったウェーレインは4周目には12位まで挽回し、流石の速さを見せた。
最終的にトップ10に食い込むところまで上がって来たが、上位に戻ることはできなかった。

中盤以降、上位勢に動きはなくローランドがトップで最後のバーチャルレースを制した。
2位にはバンドーンが入り、ポイントランキングでウェーレインを逆転してシリーズチャンピオンを決めた。
3位はBMWのギュンターが獲得し、最終戦を表彰台で終えた。

バンドーンがチャンピオン

全てのレースが終わりチャンピオンはバンドーンが獲得。
2位には最終戦でアクシデントに呑まれたウェーレイン。
3位は最終戦で優勝して大量ポイントを獲得したローランドとなった。
最終的に24ポイント差を付けてチャンピオンとなったバンドーンの活躍もあり、チームランキングでもメルセデス・ベンツEQがチャンピオンを獲得。
2位には最終戦で大量ポイントを獲得した日産、3位は惜しくも両選手権で逆転を許したマヒンドラとなった。
レースを終えてシリーズチャンピオンとなったバンドーンは以下の様に語った。

「優勝できて本当に嬉しい。タフでトリッキーな一日だった。スタートは本当に混沌としていて、パスカル（ウェーレイン）と並んでいたが、2コーナーで後ろからバンプを受けて追突し、スピンさせてしまった。コース上でバトルができていれば良かったけど、この2戦は不運なことが多くて大変だった。」
最終戦を優勝で飾ったローランドは以下の様に語った。
「今回、勝利できたのは事前の練習と、シムへの慣れ、そして正しいセッティングを見つけることができたからです。このイベントが行われる前は、十分な機材を持っていなかったし、ライバル達の多くは非常にレベルの高い人たちなので大変でしたが、ようやく勝利にたどり着けるようになってきました。」

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