Race at Home Challenge チャンピオンシップ第7戦 リアルドライバーレース

Race at Home Challenge チャンピオンシップ第7戦 リアルドライバーレース

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フォーミュラEは世界的な健康危機の中でシーズンの中断を余儀なくされているが、そんな状況でもユニセフを支援するために新たに開催されているバーチャルレースである「ABB Formula E Race at Home Challenge」のチャンピオンシップ第7戦が行われた。

リアルドライバーレース

「ABB Formula E Race at Home Challenge」は毎戦2つのレースを行う。
ひとつはリアルでフォーミュラEのドライバーを務めるプロレーサー達のリアルレーサーレースセッション。
もうひとつはオンライン予選を勝ち抜いたシミュレーターレーサー及びゲスト達のチャレンジャーレースセッションだ。
今回のレース週末は、第7戦と最終戦である第8戦を同じ週末に行うダブルヘッダーとなっている。
両選手権共にチャンピオン争いは大詰めとなり、シリーズチャンピオンを争う。
リアルドライバーレースシリーズでのランキング争いはパスカル・ウェーレインとストフェル・バンドーンが大接戦状態となっている。
序盤戦に好調だったマキシミリアン・ギュンターは後半戦で不運も重なり失速。
それでもシリーズランキングでは上位をキープしている。
そして後半戦に入り勢いを付けてきたのは日産のオリバー・ローランドだ。
この4名がランキングでは有力候補となっている。

ニューヨーク市街地

レースの舞台は前戦に引き続きアメリカのニューヨークへ。
世界最大の都市であり、人口密度が最も高いと言われるビジネスの中心地。
そんなニューヨークでも実際にフォーミュラEのレースが行われている市街地サーキットがある。
全長は2.373 kmであり、ターンは14か所。
市街地サーキットらしく、直角的なコーナーとヘアピンが多くあり、バトルをしかける低速コーナーは道幅が狭くリスキーだ。
ホームストレートはターン5とターン6の間にあり、バックストレート前には唯一の高速コーナーであるターン14がある。
ここでは現実のフォーミュラEでも非常にスリリングなアタックをするコーナーだ。

レース前

前戦と同じニューヨークでのレースとなったが、今回はドライバーラインナップが変更された。
ベルリンでのレースでシムレーサーに運転させたダニエル・アプトはアウディスポーツABTシェフラーから事実上の解雇となり、このイベントへの参戦も中止した。
その影響でアウディチームはディ・グラッシのチームメイトとしてケルビン・バン・デル・リンデを起用した。
初参戦として注目された走りは予選から好印象を与えた。
なんと予選一組目の最上位タイムを出しただけではなく、総合結果でも2番手タイムとなる素晴らしいラップだった。
対するランキング上位の面々は練習走行でも速さを発揮しており、予選セッション終了時には上位に食い込んでいることが予想されていた。
しかしバン・デル・リンデ以外にもランキング上位ドライバー達の間に入ったドライバーがいた。
日産のセバスチャン・ブエミだ。
自身最高位となる3番手を記録し、表彰台圏内からのスタートとなった。
ポールポジションはチャンピオンを争うパスカル・ウェーレインが大差で獲得。
ライバルのバンドーンは5位、ギュンターは4位と少し離れた位置からのスタートとなった。

決勝

前回のニューヨークでのレースではファーストコーナーで波乱が起きたが、今回は比較的穏やかなスタートとなった。
しかし、3番手スタートだったブエミがアクシデントに巻き込まれ大きく後退。
初の表彰台獲得は厳しくなってしまった。
3番手以降はポジション争いが激しく、チャンピオン争いをするバンドーンもまた、バトルでタイムを失った。
その間にトップ勢のウェーレイン、バン・デル・リンデ、ローランドが一早く集団から逃げる展開となり、序盤の数ラップで上位勢は後続を引き離した。
バンドーンとギュンターの上位勢ドライバーとバトルをしていたデ・ブリーズが2周目にスピンを喫し、後方へドロップ。
この影響で中団でも接触が起こり、やはり序盤からアクシデントが多発した。

5周を経過して上位勢は等間隔に離れ、トップはウェーレインがキープ。
その後ろはバン・デル・リンデ、ローランド、バンドーン、ギュンターと続いた。
そして6番手にはフェリペ・マッサが着けた。

レースも後半に入る頃、中団では数台のバトルが勃発する。
フラインス、ジャニ、ターベイの3人はトップ10でのポイントを争うことになり、レースが終盤に向かうにつれてアグレッシブな展開を見せた。
更にその3台の後ろにもマシンが来て数珠繋ぎとなった。
上位陣にも動きがあり、2番手のバン・デル・リンデにローランドが接近した。
ファイナルラップに入ってもテールトゥノーズは続き、ローランドがヘアピンでアウトサイドから一気に並びかける。
立ち上がってからはぴったり後ろに張り付き、最後のオーバーテイクポイントでインサイドを強引にこじ開けて2位を獲得した。
バンドーンもすぐ近くまで来ていたが、惜しくも表彰台には届かなかった。
優勝は危なげない走りでチェッカーを受けたウェーレインだった。
後方とのタイム差こそ近かったものの、1コーナーのバトルを制してからは全くトラブルフリーでの走行となった。
そして最後まで2位争いを演じたバン・デル・リンデもデビューレースとは思えない競争力を発揮して注目を集めた。

ウェーレインがチャンピオンへ近づいた

シリーズで3勝目を挙げたウェーレインはチャンピオンシップのリードを広げ最終戦に向かうこととなった。
対するバンドーンはダブルポイントとなる最終戦での逆転チャンピオンを狙う。
ほぼこの二人のチャンピオン争いになるだろう。
また、今回のレースで2位に入ったローランドも非常に競争力が高まっており、最終戦にも期待がかかる。
更に、ここにきて現れた新しいドライバーとして、バン・デル・リンデの走りにも注目があつまる。
ウェーレインはレースを終えてコメントした。

「いいレースだったし、僕にとっては最も難しいレースのひとつだった。ヘイローのせいで上が見えなくてスタートランプが見えなかったんだ。スタートで少し遅れてしまったが、なんとか逃げ切ることができて良かったよ!次戦に向けて何ができるか見てみよう。」

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