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フォーミュラE 新機能”ピットブースト”がジェッダから導入
FIAフォーミュラE世界選手権は、シーズン11の一部のレースで画期的な新機能「PIT BOOST(ピットブースト)」の導入を行う。
これにより、ドライバーはレース中にピットイン作業を義務付けられ、レース戦略に新しい革命を起こす。
ピットブーストは、戦略性の向上、予測不可能性、ファンの注目を高めるために設計され、フォーミュラEレースをよりスリリングなものとする新ルールだ。
ピットブーストはピットレーンでの30秒間の600kW急速充電により、レースカーに10%のエネルギー充電を提供する機能である。
この機能は、現在の民間用スーパーチャージャーよりもはるかに大きな電力を供給するもので、レース中に新たな戦略的要素を追加し、レース結果や戦術を劇的に変化させる可能性を秘めている。
ドライバーは、ピットストップ中にコースポジションを失うリスクと、エネルギーブーストのメリットを比較検討してタイミングを決めなければならない。
最適なタイミングを選ぶことは極めて重要であり、すべてのレースにおいてより多くのドラマをもたらすことになるだろう。
ピットブーストは2025年2月14~15日にサウジアラビアで開催されるフォーミュラEジェッダE-Prixでデビューする。
フォーミュラEの共同創設者でチーフ・チャンピオンシップ・オフィサーのアルベルト・ロンゴは次のように述べている。
「広範なテストとシミュレーションのプロセスを経て、ついにこの画期的な技術を世界に発表できることを嬉しく思います。これは、我々のシリーズだけでなく、現代のモータースポーツにとって最も野心的でインパクトのある追加技術のひとつです。ピットブーストは、激しいプレッシャーの中で大きな決断を迫られることになる。劇的なオーバーテイク、予想外の展開、人間の創意工夫の可能性はファンの興奮を高め、フォーミュラEとFIAの革新への絶え間ないコミットメントを示すだろう。サーキットから公道への技術移転を強化するために誕生したシリーズとして、消費者向け車両とEV性能の将来的な可能性に変化をもたらすものです」
FIAのシニア・サーキット・スポーツ・ディレクターであるマレク・ナワレツキは次のように述べた。
「包括的なテストプログラムの結果、ピットブーストを導入することになりました。再び電動モビリティの限界に挑戦できることをうれしく思います。この先駆的な新機能は、FIAの技術およびスポーツレギュレーションの一部であり、このスポーツに新たな戦略的要素を追加するものです」
FIAフォーミュラE世界選手権が電動モビリティの発展をリードし続ける中、ピットブーストはEV充電技術の急速な進歩に注目している。
この技術革新は、EVの普及における重要な課題の1つである充電速度と時間に対応するものであり、技術プラットフォームとしてのフォーミュラEの立場を示すものとなった。
PIT BOOSTの概要
600kWで約30秒間充電し、レーシングカーに10%のエネルギーを追加する。
指定されたレースで全ドライバーに義務付けられる。
既存のATTACK MODEルールとは独立したもので、チームに2つの戦略的要素を提供する。
ピットクルーは2名までとし、ピットクルー1名はマシンのストップとリリースを担当する。
同一チームでピットブーストは同時に実施できないため、1チームにつき1台ずつのみ。
出典:https://www.fiaformulae.com/en/news/516898