フォーミュラE 2022 ROUND6 モナコ E-PRIX 決勝ハイライト
2022シーズン第6戦が、モナコ市街地コースで行われた。
グランプリレースの伝説的存在であるモナコ市街地コースでのフォーミュラEが戻って来た。
世界一の物価を記録する”お金持ちの国”として知られるモナコは、モータスポーツの歴史が非常に長い。
元祖市街地コースとも言えるモナコ市街地サーキットで、フォーミュラEと言う最先端の電気自動車がレースを行う。
過去のレースではセバスチャン・ブエミが2勝を記録しており、不調が続く日産へポイントを届けられるか期待される。
もちろん、昨年にモナコで勝利を挙げたダ・コスタも優勝候補だ。
前戦のローマで完璧な2連勝を達成したエバンスは昨年のモナコを3位で終えており、こちらも高い競争力を持っているだろう。
また、今年はコースも完全なグランプリコースとして開催される。
予選セッションはグループAとグループBに分かれて11台づつ走行を行い、それぞれのセッションの上位4台がトーナメントに進出する。
グループAにはトーナメント進出が有力視されているバンドーンやベルニュが配属され、日産の2台もこのグループで走行を行った。
各車2回のアタックを行い、バンドーンが圧巻のトップタイムを記録してトーナメントに進出した。
そこに続いたのはウェーレインとベルニュ、そしてディ・グラッシだ。
日産はギュンターが6位に入ったものの、トーナメント進出はできなかった。
グループBでは現チャンピオンのデ・フリースや連勝中のエバンスが走行を行った。
トップタイムを記録したのは好調のエバンス。
2番手以降はデ・フリース、ロッテラー、フラインスが続き、有力勢がトーナメント進出を達成した。
またしてもメルセデスとポルシェが2台揃ってトーナメントに進出しており、予選におけるアドバンテージを感じさせる。
デュエル予選ではデ・フリースが早々に敗退する意外な展開もあり、最終的にファイナルに残ったのはバンドーンを下したウェーレインと、ベルニュを僅差で破ったエバンスとなった。
ウェーレインとエバンスはどちらも自己ベストが非常に近かったが、エバンスが序盤からリードを築き、後半セクションでもウェーレインを寄せ付けずに逃げ切った。
最終的に0.2秒差を付けて唯一の29秒に入れる素晴らしい予選ラップを披露した。
これによりポールポジションは連勝中のジャガーのミッチ・エバンスが獲得。
2位にはポルシェのパスカル・ウェーレイン。
3位はテチータのジャン-エリック・ベルニュ。
4位はメルセデスのストフェル・バンドーンとなった。
レーススタート
レースがスタートし、オープニングラップは大きな混乱なく全車が通過した。
序盤は各車、隊列を維持して走行を続け、アタックモードを使用するまでの15分間は落ち着いたレース展開となった。
アタックモード
残り30分頃から一回目のアタックモードを起動するドライバーが増え、レースが動き始める。
上位勢ではベルニュが最初にアタックモードを起動し、一度順位を下げる。
上位集団もかなり接近した状態でレースが続いていたため、アタックモード起動におけるロスタイムで順位が大きく落ちる。
残り25分頃、トップのエバンスがアタックモードを起動し、そこにバンドーンとディ・グラッシも続いて上位勢3台が同時にアクティベーションゾーンを通過した。
エバンスは後続が同時にアタックモードを起動したことで、順位を2つ下げるだけで済み3番手から追い上げを目指す。
同時にアタックモードに入ったバンドーンもフラインスを抜かして4番手に着けた。
次の周でトップのウェーレインがアタックモードを起動する。
これでベルニュがトップに立ち、エバンスが2位へ、そしてウェーレインは3位でコースに復帰した。
その直後のトンネルを抜けた先でウェーレインがエバンス豪快にパスし2位へ浮上する。
エバンスはエネルギーマネジメントをかなり慎重に行っているようで、ヌーベルシケインへの進入時は相当手前からアクセルを離しているように見られた。
次のラップでは、ウェーレインがトップのベルニュに襲い掛かり、あっさりと前に出ることに成功する。
アタックモードはまだ時間を残しており、このまま逃げ切り体制を作りたい展開だ。
その後ろでも順位が入れ替わり、エバンスがバンドーンに交わされて4位へ後退する。
前戦は圧倒的なエネルギーマネジメントを見せたエバンスだったが、モナコではライバルよりも少し厳しい状況にある様子だ。
終盤のバトル
残り20分でまさかの展開が起こる。
なんとトップを独走していたウェーレインが突如スローダウンしてしまう。
まだアタックモードを使用しているタイミングであり、まさかの展開にチームも落胆を隠せない。
ウェーレインはトンネル出口で完全に停車してしまい、これによってフルコースイエローが提示されて一時レースが止まる。
残り15分頃、レースが再開されてすぐにターン1でクラッシュが発生する。
ロッテラーのインサイドにローランドが仕掛けてきたものの、ローランドがややオーバースピードで膨らみ、アウトサイドのロッテラーに軽くヒットして両者はウォールにクラッシュした。
このアクシデントで再度イエローが提示されてセーフティカーが出動する。
このタイミングで運悪くアタックモードを起動してしまったバンドーンは、2回目のアタックモードを事実上使用できなくなった。
アタックモードを残していた上位勢はレース再開後にアタックモードを起動していく。
2位のエバンスもアタックモードを残しており、残り6分で起動した。
アクティベーションゾーンを通過していくタイミングでベルニュが前に出ていき、更にフラインスにも僅差で抜かれてしまい4番手で復帰した。
その後、ホームストレートでフラインスとベルニュを抜かしていくが、トップのバンドーンとの差は開いており最終的にバトルできる間合いに近づくことはできなかった。
優勝は、不運を跳ね除けたメルセデスのストフェル・バンドーン。
後半は後続を引き離す見事な速さを見せた。
2位には好調が続くジャガーのミッチ・エバンス。
優勝こそ逃したが前戦から続く好調を維持した。
3位はテチータのジャン-エリック・ベルニュが獲得した。
チャンピオンシップリーダーは優勝したメルセデスのストフェル・バンドーン。
6ポイント差の2位にはテチータのジャン-エリック・ベルニュ。
3位は好調続くジャガーのミッチ・エバンス。
そして4位にはエンビジョンレーシングのロビン・フラインスとなり、今回のレースの上位4名が並んだ。
また、ランキング4位のフラインスから5位のモルタラまでは22ポイントと大きく離れており、シーズン序盤で4台が抜け出した形となった。