フォーミュラEチャンピオンとなったダ・コスタがキャリアを振り返る
2019/2020シーズンのFIAフォーミュラE選手権が終了し、ドライバーズランキングで1位となりチャンピオンを獲得したのはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタだった。
今回は、チャンピオンになるまでの彼のキャリアを紹介していく。
フォーミュラE挑戦での苦悩
自身初のチャンピオン獲得となったダ・コスタだが、フォーミュラEに参戦した当初は、自分のスピードについて自信を失っていた。苦戦するレースが続き、常にシートを維持するために後方でチームメイトと戦っていた。日曜日にベルリンで行われたレース後、チャンピオンとなったダ・コスタは想いを語った。
「キャリアの中で何度も諦めかけたことがあった。辛い時期を思い出そうとすればすぐに記憶が蘇ります。でも諦めなかったのは周りのみんなのおかげだよ」
ダ・コスタはフォーミュラE初年度の2014/2015シーズンからフォーミュラEに参戦したが、第3シーズンではアンドレッティのロビン・フラインスと共に後方でのレースを強いられ、チャンピオンシップを争うような順位ではなかった。
「フォーミュラEに参戦し始めた時は、上位争いをしているルーカス(ディ・グラッシ)、ジャン(ベルニュ)、セバスチャン(ブエミ)に周回遅れにされながら、19位、20位を争っていたんだ。チャンピオンシップを争うドライバーたちは僕やロビンをバックマーカーとしてしか見ていなかったし、まったくリスペクトされていなかったんだ。」
「シーズン1はゼロからのスタートだった。その中でいくつかの良い走りを見せれたよ。初優勝をしたアムリン・アグリでは1周しかレースをリードしていなかったけど、最も重要なことは最終的な順位だ。トップでチェッカーフラッグを受けた時は本当に嬉しかった。翌年のシーズン2はリタイヤが多くなってタフなシーズンだったし、シーズン3、4は後方を走ることしかできなかった。」
ジュニア時代のダ・コスタは、カートで好成績を残し、すぐにシングルシーターへとステップアップした。その後も下位フォーミュラで成績を挙げ、F1のテストドライブやレッドブルのヤング・ドライバー・プログラムのメンバーに選ばれた。
フォーミュラEへと戦いの場を移した彼が記録したシーズンランキングは、8位、13位、20位、15位と低迷したが、昨年のBMWから上位争いをコンスタントにできるようになり、そして今シーズンは移籍初年度でチャンピオンを獲得した。
ポイントランキングで大差を付ける程の速さを見せた。
各チームへの感謝
ベルリンでタイトルを獲得した後のインタビューで、ダ・コスタはかつてのチームメイトたちへの感謝の気持ちを伝えた。
「レッドブルは本当に僕に多くのチャンスをくれた人たちだ。自分のキャリアを諦めようとしていたときに、F1タイトルを獲得したマシンを運転するチャンスを与えてくれたんだ。そして次のステップに進んだ時に助けてくれたBMWファミリーにも感謝している。彼らが僕を本物のプロレーシングドライバーに変えてくれた。」
その後、彼はBMWを去り、テチータに移籍をして、チーム代表のマーク・プレストンと再びタッグを組むことになる。
チーム代表のマーク・プレストンは以下の様に語った。
「アントニオとは第1シーズンから一緒に仕事をしていて、彼はそれ以来、常に勝利を求めていたんだ。そして今シーズンは我々のチームに来て、彼の夢がたった1年で実現したんだ。」
ダ・コスタは、テチータでのチャンピオン獲得についてコメントした。
「チームに感謝しなければならない。彼らのハードワークは信じられないものだった。彼らは勝利のためにどんなことでも全力を尽くしてくれるので、本当に感謝しています。DSテチータに入社するまでは、自分をハードワーカーだと思っていました。最初の一週間で、彼らがどのように運営しているか知り、献身的な姿勢を見ました。その瞬間、自分にもチャンピオンのチャンスがあると理解したんだ。僕はシーズン1で彼らと一緒にレースをしてきた。彼らは、僕に何ができるかを知っていて、僕を再び仲間に入れてくれた。ここには完璧な機材があり、完璧なマシンがあり、完璧なチームメンバーがいる。」
ダ・コスタは、最も激しい戦いのあるフォーミュラEで活躍するチャンピオンチームの一員として、必要な知識を教えてくれた現役チャンピオンだったベルニュに敬意を表した。
「ベルニュは素晴らしいチャンピオンであり、戦うのが難しい選手だ。彼は今シーズン、僕に必要な知識を与えてくれ、いつも公平なレースをしてくれた。彼には感謝している。」