Race at Home Challenge チャンピオンシップ第4戦 チャレンジャーレース
フォーミュラEは世界的な健康危機の中でシーズンの中断を余儀なくされているが、そんな状況でもユニセフを支援するために新たに開催されているバーチャルレースである「ABB Formula E Race at Home Challenge」のチャンピオンシップ第4戦が行われた。
チャレンジャーレース
「ABB Formula E Race at Home Challenge」は毎戦2つのレースを行う。
ひとつはリアルでフォーミュラEのドライバーを務めるプロレーサー達のリアルレーサーレースセッション。
もうひとつはオンライン予選を勝ち抜いたシミュレーターレーサー及びゲスト達のチャレンジャーレースセッションだ。
今回のレースはチャンピオンシップの中間点となり、序盤戦が終わるとともに中盤戦以降の争いをするドライバーが絞られるだろう。
チャレンジャーレースシリーズでのランキング首位はケビン・シギー。
現在3戦連続表彰台を獲得しており、第3戦では初優勝でランキングのポイント差を広げている。
既に他のライバルにある程度のポイント差をつけているため、多くのライバル達はチャンピオンを獲得するには常にシギーより上位に行く必要がある。
香港市街地コース
レースの舞台は再び香港へ。
シリーズでは2回目の開催になるため、各ドライバーの技量差は縮まってきている。
最も危険な1コーナーのヘアピンから2コーナーまでの直線がオーバーテイクポイントなため、オープニングラップの序盤は混戦となるだろう。
レース前
「ABB Formula E Race at Home Challenge」の中間点となる今回のレースは、チャレンジャーシリーズのランキングトップを直走るケビン・シギーの走りに注目が集まる。
シギーは、経験豊富なシムレーサー達が集う中、過去3ラウンドのすべてで表彰台に上がっている。
ランキングでシギーを追うのはピーブとブリャク。
ポイント差はあるものの、チャンピオンシップでトップに最も近い挑戦者である。
しかし、今回のレースでは前回の香港レースでの勝者であるロジャースがグリッドに戻ってきた。
予選では、シリーズ初のウエットコンディションに見舞われた。
荒れた予選コンディションの中、ポールポジションを獲得したのはロジャースだった。
1分11秒175のラップタイムを記録してタイムシートのトップになったロジャースのすぐ後ろにはランキング首位のシギーが着けた。
3番手にはルーカス・ミュラーが入ったが、上位二人からは0.5秒以上の差をつけられていたため、予選は完全に二人のバトルになった。
決勝
レースがスタートし、トップのロジャースは1コーナーをインサイドでキープ。
首位を守り、シギーの攻撃をかわしてストレートへ入る。
逆に2番手のシギーはミュラーに第1コーナーイン側から並ばれ、ポジションを一つ落としてしまう。
中団ではラ・フラムがオープニングラップで8位にジャンプアップする好走を見せる。
後方では、1コーナーでドラゴンレーシングのリザーブドライバーであるジョエル・エリクソンのマシンが横転し、最後尾に後退してしまう。
なんとかレースからの脱落を避けるべく、前を行く中国のドライバーであるリウを追いかける。
レースロワイヤルフォーマットで最初に脱落したドライバーはリウとなり、エリクソンは最初の脱落を回避した。
3周目に入ると、トップを走るロジャースは2位のミュラー、3位のシギーとの差を2秒以上に広げ始めた。
中団では、オープニングラップから好走を見せるラ・フラムが6位まで順位を上げてきた。
ラ・フラムとヘイデが激しくポジションを争ったが、二人がバトルでペースを落とした隙にピントがうまくオーバーテイクし6位に浮上した。
残り5周を切ったところで2位のミュラーがロジャースとの差を縮め始めた。
オーバーテイクを狙うミュラーは、ロジャースのすぐ背後に迫り、オーバーテイクポイントとなるタイトなコーナーで何度もサイドバイサイドのバトルをするが中々前に出ることができない。
ロジャースはインサイドのラインをキープしてトップを守り続けた。
最終ラップに入り、ミュラーはロジャースのインサイドに素早く飛び込み、遂にロジャースを抜かしてトップに立つ。
劇的なファイナルラップを終え、ミュラーが勝利する形でチャレンジレース第4戦は幕を閉じた。
これまでの4戦で4人の異なる勝者が誕生し、レースのハイレベルさが表れた。
敗れたロジャースだが、2位表彰台を獲得した。
3位にはシギーが入り、抜群の安定感を見せた。
4戦連続の表彰台で、ランキングトップを依然として維持している。
今回のミュラーの勝利により、彼はランキング2位に浮上してチャレンジャーシリーズのトップであるシギーとの差を僅かに縮めた。
ミュラーが初優勝
「ABB Formula E Race at Home Challenge」で初勝利を挙げたミュラーは優勝後のコメントで「言葉を失った」と語った。
「私は今少し言葉を失っています。今起こったことが信じられません。まさか優勝争いをすることになるとは思ってもいませんでした。」