フォーミュラEに連続勝者はいない

フォーミュラEに連続勝者はいない

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フォーミュラEは最も予測不可能なモータースポーツと呼ばれており、それには明確な理由がある。
今シーズンのこれまでのレースでは全て勝者が違い、かなりの確率で勝者は次のレースで苦戦する傾向がある。
シーズン4ではディ・グラッシとローゼンクヴィストが2連勝を達成したものの、それ以降は誰も連続優勝を達成していない。

予測困難な勝者

2019/2020シーズンの開幕戦はサウジアラビアのディルイーヤで行われ、バージンレーシングのサム・バードが見事なオーバーテイクでシーズン最初の優勝者になった。
しかし、同じディルイーヤで開催された第2戦では予選で上位に入ることができず、集団の中からのスタートになってしまった。
これはフォーミュラEの予選システムによって引き起こされた結果だった。

予選の不利

予選出走順はチャンピオンシップの上位ランカーから6台ずつ出走していく。
つまり、ランキング上位の6台は最初にコースインしなければいけなくなり、コースコンディションが悪い状態でのアタックラップを強いられる。
特に開幕戦のディルイーヤはコース上に砂が多く、ある程度車両が走行しないと路面のグリップが上がってこない。
この様な難しいコンディションでの走行になるため、第1戦で優勝したバードは予選上位に入ることができなかった。
予選で上位に入れなかったドライバーは、決勝で多くのオーバーテイクをしなければ優勝はもちろんのこと表彰台に登ることも難しい。
ペース自体は速かったバードは果敢にオーバーテイクを狙って上位進出を目指したが、他車との接触によってリタイヤとなってしまった。
代わりに優勝を果たしたのはBMWのアレクサンダー・シムズだった。

魔のグループ1

シムズはバードが優勝した第1戦でも予選ではポールポジションを獲得しており、第2戦もポールポジションを獲得していたのでシーズンを非常に力強くスタートしていた。
しかし、続く第3戦では第2戦のバード同様に、予選を最初のグループで走らないといけなくなった。
その結果、シムズは予選上位を獲得することができずに、またもバード同様にバトル中の接触によってリタイヤとなってしまう。
そんな中、優勝を果たしたのはチームメイトのマキシミリアン・ギュンターだった。
BMWはドライバーこそ違うものの2戦連続優勝を成し遂げ、強力なパッケージがあることを示したかに思われた。
第4戦では前戦で優勝したギュンターが自身初めてのグループ1で予選に挑んだ。
だが彼もタイムを伸ばすことができずに予選は下位に沈み、決勝でもポイント獲得圏内に入ることができなかった。
そして第4戦を制したのはジャガーのミッチ・エバンスだった。
彼は第3戦でも優勝争いをしており、連続優勝に最も近いドライバーであった。
好調を維持したまま第5戦に向かったエバンスだが、予選で痛恨のミスをしてしまう。
もっとも路面コンディションが良いタイミングでアタックラップを行いたかったエバンスは、グループの最も後方からアタックを開始しようとしていた。
ところがアタックラップに入るための十分な時間がなく、アタックを開始する前にチェッカーフラッグが振られてしまった。
これにより最下位からのスタートになってしまったエバンスは、決勝で驚異的な挽回を行う。
ファンを魅了する走りで上位入賞する結果を残したものの優勝はテチーターのダ・コスタが獲得した。

3連続表彰台

ダ・コスタはこれで3連続表彰台を獲得し、今シーズンのランキングをリードすることになった。
次戦開催はまだ未定であるが、好調が続いているダ・コスタが今後のレース連続優勝を達成することがあるかもしれない。
その時はフォーミュラEに新たな連続勝者が誕生する瞬間であり、フォーミュラEの歴史の中でも珍しい出来事になるだろう。

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