ミッチ・エバンス 不屈の走り
2020シーズンのマラケシュE-Prixをチャンピオンシップリーダーとして迎えたエバンスだったが、予選でクラッシュを喫してグリッドの最後尾に追いやられた。
非常に劣勢な状況に陥ったエバンスは、スタートから積極的にポジションを上げ、センセーショナルなドライブをしてチャンピオンシップに重要なポイントを獲得した。
一時はチャンピオンシップで大差を付けられる可能性があったものの、ポイントを獲得できたことによって、チャンピオンシップ上位で戦うことができると確信していると語る。
怒涛の追い上げ
サンティアゴでのポールポジション獲得から勢いを付けたエバンスは、決勝でも3位表彰台で多くのポイントを獲得し、続くメキシコシティE-Prixでも僅差の2番グリッド獲得をし、決勝では1コーナーで首位に立つと最後までレースを支配して優勝を成し遂げ、完璧な週末を過ごした。
チャンピオンシップで首位に立ったミッチ・エバンスはマラケシュでの予選も速いだろうと思われていた。
その理由として、プラクティス2で最速タイムを記録していたからだ。
しかし、予選でチームによる誤算が原因で、ガレージから出されるのが遅すぎ、エバンスはラップを記録することができずにグリッド後方に追いやられた。
現在24台のマシンが争うフォーミュラEでの最後尾スタートは、ポイントフィニッシュが困難なことを意味する。
このような状況にも関わらず、エバンスはたった45分間のレース中に驚異的な追い上げを見せ、6位フィニッシュと素晴らしい結果を出した。
今回のポイント獲得でチャンピオンシップランキングは1つしか落ちず、十分に首位を奪い返せるポジションに留まった。
可能性を見た
レース後のインタビューでエバンスは次のように語った。
「マラケシュでも素晴らしいパッケージがあり、チャンピオンシップのために諦めずに戦うことで、ポイント獲得が可能だと思っていた。私たちはチャンピオン候補であることを明確にしたかったです。チームのスタッフ達には、最後尾スタートでもポイントを獲得できると話し、皆で自信を付けました。私は最後尾スタートが困難なことは知っていましたが、とにかく前を目指してレースを楽しみました。」
予測不能な展開
フォーミュラEでは何が起こるか予想ができないレースが展開されてきたが、今回の猛烈な追い上げも予想不能なフォーミュラEの性質を表した。
「私自身は上位に追いつくことを目指して走りましたが、あなた達の中で予測していた人はいるでしょうか?他のドライバーがどれほど競争力があるかわからないし、最初のラップでアクシデントが起こるかもわからない。そんな予想できないレースを楽しんでいます。レースの開始時にアグレッシブな戦略を立て、成果を上げました。戦略を実行するのは容易ではありませんでしたが、終わってみれば大きなメリットがありました。」
6位でレースを終えてファステストラップボーナスポイントを獲得したエヴァンスは、チャンピオンシップ2位に留まりマラケシュを去った。
2位に落ちたものの、新しいシリーズリーダーのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタに僅か9ポイント差となっている。
ローマE-Prixが次の会場となり、エバンスはフォーミュラEで自身最初の勝利を挙げた場所に戻る。