ダ・コスタがサンティアゴで敗れた理由
2020年のサンティアゴE-Prixでは、テチーターのダ・コスタは速いマシンを持っていると考えられていたが、ダ・コスタはレースの最終盤にスピードを失い、BMWのギュンターに迫られ最後の最後で勝利を逃すこととなった。レース後のインタビューでダ・コスタは何が原因だったかを明らかにした。
零れ落ちた勝利
10位で予選を終えたダ・コスタは、サンティアゴでの勝利を狙ってスタートを切った。
テチーターのペースが速いことを感じていたダ・コスタは、レース中に中団争いを制して上位に上がっていき、優勝を狙えるポジションまで順位を上げることに成功した。
そして遂に、チェッカーフラッグまで残り僅かのタイミングで、BMWのギュンターをオーバーテイクすることに成功する。
このバトルで会場は大いに盛り上がり、ダ・コスタのフォーミュラEキャリアにおいて3回目の勝利を獲得するだろうと思われた。
しかし、これが最後の戦いとはならず、抜かれたギュンターも諦めてはいなかった。
レース終了まで数分という時に異変が起こる。
ダ・コスタのバッテリー温度が上昇していき、レースを走り切るためのバッテリー残量が厳しくなった。
そして最終ラップの裏ストレートでギュンターはアウトサイドから豪快にダ・コスタをパスし、そのままトップでチェッカーフラッグを受けた。
バッテリー温度との闘い
レース後にダ・コスタはインタビューに答えた。
「マシン温度を懸念していた私はチームとペースコントロールについて会話していました。チームとの無線では、マシン温度は大丈夫だと聞いていたのでハイペースを維持して走りました。しかし、チームは私に対して少しだけ間違った情報を伝えたと思います。その後、私がギュンターをパスしてレースをリードし始めた瞬間、チームから「OK、ペースを落として走ろう」と言われたので、ファイナルラップまでペースを落として走る必要がありました。バッテリー残量的にそうしなければフィニッシュできない状況になっていたのです。優勝したBMWチームはバッテリー残量をうまくコントロールしていました。」
ファイナイルラップを1位で通過したダ・コスタだったが、最後の最後でBMWのギュンターに先行を許し、勝利を手放すことになった。
優勝争いを制してフォーミュラEキャリアでの初勝利を決めたギュンターを、元BMWドライバーのダ・コスタは祝福した。
ドラゴンレーシングで厳しいシーズンを過ごした経験があるギュンターにとっては、フォーミュラEでの新たなデビューシーズンと呼ぶに相応しい結果となった。
BMWチームの一員として2019/2020シーズンでどこまでディフェンディングチャンピオンのテチーターに挑めるか注目が高まった。