エクストリームE 2022 第5戦 energy X-Prix
ウルグアイのプンタ・デル・エステでエクストリームE2022年シーズンの最終戦が開催された。
2022年シーズンも最終戦に突入し、最後のレースへ向かう。
世界情勢の悪化によってカレンダーが変更されたが、今回のレースも極地であることに変わりはない。
開催地となるプンタ・デル・エステは南米ウルグアイの南部に位置しており、非常に美しい都市であると評価されている。
ウルグアイの沿岸地帯は、幅が変化する帯状の陸地と海域からなり、大西洋に面した海岸線は約714kmに及ぶ。
大西洋に面したリゾート地であるプンタ・デル・エステには世界中から観光客が訪れており、12月から1月は非常に多くの人で賑わう。
プンタ・デル・エステは、漁業、観光、航海、港湾開発プロジェクトなど、非常に豊かで多様な生産性の高いシステムを持っている。
また、プンタ・デル・エステはフォーミュラEの開催も経験しており、モータースポーツへの関心も強い。
エクストリームEはウルグアイのブランドと提携し、再生可能エネルギーと電動化に対する共同の取り組みを紹介する予定だ。
再生可能エネルギーの生産と利用は、チャンピオンシップにとっても非常に重要なことであり、ウルグアイは発電において、再生可能エネルギーの生産でトップクラスの国だ。
現在、全電力の98%以上を風力や水力を中心とした再生可能エネルギーで発電している。
他のシリーズとは違う特殊なレースフォーマットを採用しているエクストリームEは、土曜日の予選タイムトライアル及び予選レースで、日曜日のレースの組み分けが行われる。
タイムトライアル、レース共にドライバー交代を1度行い、男女のペアが同じコースを走る。
ファイナルには5台が出場でき、セミファイナル1-2からそれぞれ2台と、敗者復活枠のクレイジーレースから1台が参戦できる。
また、定められた区間で最速タイムを記録したマシンには5ポイントのチャンピオンシップポイントが付与される。
予選セッション
予選タイムトライアルでは、サインツXE(サインツ/サンス)が最速タイムを記録した。
2番手には0.5秒差でベローチェ(Kハンセン/テイラー)が入り、新たなコンビの速さを印象付けた。
3番手には1.1秒差でチップガナッシ(アンダーソン/プライス)が続き、こちらも新たなドライバーコンビで上位に入った。
タイム差は非常に少なく、拮抗したタイムトライアルとなった。
チャンピオンシップをリードするRXRは予選でクラッシュし、ノータイムとなったが、ライバルのX44も転倒するクラッシュを喫してノータイムとなる。
JBXEもコーナーで転倒してタイムを記録できず、全く予測できない予選タイムアタックとなった。
予選レースでは、Aグループに配属されたアンドレッティが序盤からリードを築き、5秒ペナルティを受けながらもトップでチェッカーとなった。
2位にはサインツXE、3位はチップ・ガナッシとなった。
逆転のチャンピオンを狙うX44は4位となり、クレイジーレースへの参加が濃厚となる。
Bグループでは序盤からRXRとABTがトップバトルを展開する。
両車がストレート区間で接近した際に、ABTが小さくジャンプしライン取りが変わり、丁度前方にいたRXRに追突してしまう。
この接触で2台はポジションを落として後方へ落ち、変わってベローチェがトップに立つ。
RXRはピットへ戻ることができたが、再スタートはできずにリタイヤとなる。
ABTはドライバーチェンジ後にトップのベローチェへアタックを開始し、オーバテイクをしてトップでチェカーを受けた。
2位はベローチェ、3位はJBXEとなった。
ファイナルセッション
決勝日は複数のレースセッションが行われた。
ファイナルの前に行われる3つのレースはファイナル以外のドライバーの順位を決めるものとなっている。
2つのセミファイナルはファイナルに進める2名のドライバーを決めるレースとなっている。
クレイジーレースはファイナルに進める1名のドライバーを決めるレースであり、敗者復活枠だ。
ファイナル進出をかけて争われるセミファイナル1-2およびクレイジーレースだが、最も注目されるのはクレイジーレースとなった。
4台が争うクレイジーレースはトップのみがファイナルに進出することができるが、ここにチャンピオンシップを争うRXRとX44が配属されたためだ。
1コーナーから両車はバトルを展開するが、先行したのはX44だった。
RXRは3番手にいたJBXEとバトルを展開するが、X44から離されることを嫌ってか、強引なバトルをしてしまう。
遅めのブレーキタイミングによって止まりきれず、アウトサイドにいたJBXEと共にコース外まで行ってしまう。
このアクシデントでJBXEはマシンを止め、RXRもサスペンションにダメージを負いピットに戻ってくる。
レースの方はX44が制してファイナル進出を決めた。
ピットで修理を試みたRXRだったが、その間にレースは終了となりリタイヤ扱いとなった。
勝者を決めるための最終レースには、ベローチェ(Kハンセン/テイラー)・X44(ローブ/グティエレス)・ABT(アルアティア/アンダーソン)・アンドレッティ(Tハンセン/ムニングス)・マクラーレン(ファウスト/ギルモア)の5台が並んだ。
スタートで先頭を取ったのはABTだった。
後ろにはマクラーレン、アンドレッティ、X44が続く。
路面が乾燥した影響か、かなりの砂煙が立つようになっており、トップ以外のマシンは前方の視界の確保が難しい状況となった。
順位はそのまま変わることはなかったが、アンドレッティが5秒ペナルティを受けたため、4位のX44が繰り上がり3位となった。
これでトップチェッカーを受けたのはABT(アルアティヤ/アンダーソン)、2位にマクラーレン(ファウスト/ギルモア)となり、3位にはX44(ローブ/グティエレス)となった。
そしてスーパーセクターはX44が最速を記録してポイントを獲得し、これによってチャンピオンシップポイントを獲得して、RXRを逆転することに成功する。
最終戦の最後の最後で逆転を果たしたX44はエクストリームEで初のチャンピオンを獲得することになった。
関係者コメント
X44のクリスティーナ・グティエレスは次のように語った。
「まだチャンピオンになったことが信じられません。今回は特に土曜日の転倒の後からとてもタフな週末になりました。チームはスペアマシンを使用して素晴らしい仕事をしてくれました。予選レースでの走行がスペアマシンの初走行だったのですが、問題なく走行することができました。決勝については、無線で誰かがペナルティーを受けると言われていましたが、それでも逆転できるかは分からなかったです。本当にジェットコースターのような週末でした。でも、自分たちが成し遂げたことを誇りに思います」
X44のセバスチャン・ローブもコメントした。
「僕らには、最大限の力を発揮しポイントをできるだけ多く獲得することしかできなかった。決勝では僕が4位で走行していましたが、チャンピオンを取るためには最低でも3位になる必要があったので、ファイナルレースは本当に正念場でした。あちこちで接触がありましたが、オーバーテイクすることはできなかったです。でもクリスティーナが素晴らしい仕事をしてくれて、前のマシンにちゃんと付いていったので、3位になれる可能性は十分にありました。最終的に、ここにいることができて本当に安心しているし、このチャンピオンシップを勝ち取ることができ、誇りに思っている」