エクストリームE 2022 第4戦 copper X-Prix
チリ北部のアントファガスタでエクストリームE2022年シーズンの第4戦が開催された。
2022年シーズンも後半戦に突入し、残りのレースは2箇所となる。
世界情勢の悪化によってカレンダーが変更されたが、今回のレースも極地であることに変わりはない。
開催地となるアントファガスタは、南米大陸でのエクストリームEイベントとなり、同選手権はアマゾンでの大規模なレガシープログラムを行う。
アントファガスタ市は、首都サンティアゴの北に位置し、鉱業と密接な関係を持つ都市だ。
コースが設定されるのは、アントファガスタのアタカマ砂漠にある小さな鉱山都市カラマだ。
極めて乾燥した地域であり、ロア川沿いに位置している。
この町から50km以内に世界最大の銅鉱山が3つあることから、鉱山と密接なつながりがある。
19世紀半ば以降、銅の採掘がこの地域の中心だったが、最近では革新的で持続可能な採掘の方向へとシフトしている。
初開催となるチリ/アントファガスタでのレースは、全てのチームにとって新しい挑戦となるだろう。
全く新しいコースは予測が難しく、全てのチームが同じ状態からスタートする。
コースは豊富な要素で構成され、高速のオープンコーナー、タイトターン、長いストレートを含むレイアウトになっている。
高低差も大きく、ジャンプやステップダウンもある魅力的な地形だ。
路面は大小の岩に覆われた柔らかい土で、砂地と小さな岩場で構成されている。
高度が高いため、上手く環境に合わせた調整が必要になる。
他のシリーズとは違う特殊なレースフォーマットを採用しているエクストリームEは、土曜日の予選タイムトライアル及び予選レースで、日曜日のレースの組み分けが行われる。
タイムトライアル、レース共にドライバー交代を1度行い、男女のペアが同じコースを1周ずつ走る。
ファイナルには5台が出場でき、セミファイナル1-2からそれぞれ2台と、敗者復活枠のクレイジーレースから1台が参戦できる。
また、定められた区間で最速タイムを記録したマシンには5ポイントのチャンピオンシップポイントが付与される。
予選セッション
予選タイムトライアルでは、昨年のチャンピオンであるRXR(クリストファーソン/コツリンスキー)が最速タイムを記録した。
2番手にはX44(ローブ/グティエレス)が入り、ライバル対決は継続されている。
3番手にはチップガナッシ(ルデュック/プライス)が続き、予選で速さを見せている3チームが今回も上位を独占した。
また、4番手にはマクラーレン(ファウスト/ギルモア)が入り、新チームながら非常に速いペースを維持している。
予選では多少のトラブルこそあったものの、全車両がチェッカーを受けており、全体のタイム差も比較的少なくコースは過去のイベントに比べて走りやすく接近した争いとなった。
予選レースでは、Aグループに配属されたアンドレッティが中盤以降にリードを築き、トップでチェッカーを受けた。
少し遅れたもののRXRも2位を手堅く獲得して予選ポイントを加算した。
3番手には途中でトラブルに見舞われたものの、チップガナッシが入った。
ベローチェとイスパノ・スイザは共にリタイヤとなった。
BグループではスタートからサインツXEとX44が激しくバトルを展開する。
X44はトップのサインツXEとのバトル中にコースサイドのフラッグと接触してしまい、これによってタイムペナルティが与えられることになった。
トップでチェッカーを受けたX44だったが、正式順位は2位へ降格となった。
ファイナルセッション
決勝日は複数のレースセッションが行われた。
ファイナルの前に行われる3つのレースはファイナル以外のドライバーの順位を決めるものとなっている。
2つのセミファイナルはファイナルに進める2名のドライバーを決めるレースとなっている。
クレイジーレースはファイナルに進める1名のドライバーを決めるレースであり、敗者復活枠だ。
勝者を決めるための最終レースには、サインツXE(サインツ/サンス)・X44(ローブ/グティエレス)・ABT(アルアティア/アンダーソン)・チップガナッシ(ルデュック/プライス)・マクラーレン(ファウスト/ギルモア)の5台が並んだ。
ファイナルに進出を決めていたRXRがまさかのリタイヤとなり、決勝カードが変更された。
スタートで先頭を取ったのはX44のローブだった。
混戦での1-2コーナーを上手く攻略して、後続に早くも差を付けていく。
しかし中盤からマクラーレンが追い上げ始め、ドライバー交代のためのピットイン直前のコーナーでインサイドからオーバーテイクに成功する。
これでドライバー交代を行い、トップでマクラーレンがピットアウトし、X44とチップガナッシが続く。
ピットアウト直後にX44がハイパードライブを使用して一気に加速しトップを奪還する。
マクラーレンはその後引き離されずに食らいついていき、後半セクションで再度逆転に成功する。
これでトップチェッカーを受けたのはマクラーレン(ファウスト/ギルモア)、2位にX44(ローブ/グティエレス)となったが、タイムペナルティの加算等で順位が変動し、最終的に優勝を飾ったのはX44(ローブ/グティエレス)組となった。
その他でも順位変動が大きく、2位にはサインツXE(サインツ/サンス)が入り、3位はABT(アルアティヤ/アンダーソン)となった。
スーパーセクターはマクラーレンが最速を記録してポイントを獲得した。
関係者コメント
X44のグティエレスは次のように語った。
「今回のイベントで優勝し、チャンピオン争いに加わることができて本当にうれしいです。RXRは本当に強いチームなので、彼等が決勝に出られなかったことは不運でしたが、最終戦に向けて複数のチームがチャンピオンシップを争う状況となり、より面白いイベントになることを期待しています。そして、エクストリームEが女性ドライバーに素晴らしい戦いの機会を提供し、私たちが世界のトップドライバーと戦えることを証明してくれました。南米でのレースが大好きな私にとっては、今回の勝利はとてもうれしいことです」
X44のセバスチャン・ローブもコメントした。
「今日の結果にはとても満足しています。RXRがファイナルに出場できないことには驚いたが、すぐにレースが始まったので、それについて考える時間はあまりなかったです。ファイナルはいつもどおりに素晴らしいチームとの激しい戦いでしたが、クリスティーナ(グティエレス)はファイナルの舞台で最速ラップを記録し、素晴らしい活躍でした。この結果は非常に励みになりますし、最終戦に向けて良い調子を維持していきたいです」