エクストリームE 2022 第3戦 island X-Prix ハイライト
イタリアのサルデーニャ島でエクストリームE2022年シーズンの第三戦が開催された。
世界情勢の変動を受けて、元々予定されていた第2戦がキャンセルとなり、サルデーニャ島でダブルヘッダーを行うこととなった。
戦いの舞台となるイタリアのサルデーニャ島は、地中海に浮かぶ大きな島であり、過去にはWRCの開催実績もあり、モータースポーツに対して関係の深い場所でもある。
しかし今回コースとして設定されるのはモータースポーツの世界では知られていない全く新しいエリアであるため、地の利は皆無となる。
サルデーニャ島は、西地中海で2番目に大きな島であり、モータースポーツイベントの開催地として広く知られている。
モータースポーツの伝統が色濃く残るこの地は、2004年から世界ラリー選手権（WRC）のカレンダーに組み込まれていることは有名で、X44のセバスチャン・ローブは4回優勝している。
また、サルデーニャ島では、1922年にコルサ・ジェントルマン・サルディというモータースポーツイベントが開催されたほか、ランチアがWRCのグループB時代に有名なS4や037などの最新モデルを披露したことでも知られるラリー・コスタ・スメラルダが開催された。
コース自体は堅めの土がメインとなっており、路面の細かいギャップをダイレクトに拾いやすい。
コース中盤には深めのウォータースプラッシュが複数あり、水たまりを派手に通過していく姿が見られる。
長い直線区間は少なく、道幅が狭いエリアが多いため、小さなミスが起きやすいコース設定となっている。
他のシリーズとは違う特殊なレースフォーマットを採用しているエクストリームEは、土曜日の予選タイムトライアル及び予選レースで、日曜日のレースの組み分けが行われる。
タイムトライアル、レース共にドライバー交代を1度行い、男女のペアが同じコースを1周ずつ走る。
ファイナルには5台が出場でき、セミファイナル1-2からそれぞれ2台と、敗者復活枠のクレイジーレースから1台が参戦できる。
また、定められた区間で最速タイムを記録したマシンには5ポイントのチャンピオンシップポイントが付与される。
予選セッション
予選タイムトライアルでは、昨年のチャンピオンであるRXR（クリストファーソン/コツリンスキー）が最速タイムを記録した。
2番手にはチップガナッシ（ルデュック/プライス）が入り、前戦の優勝の勢いに乗っている。
3番手にはX44（ローブ/グティエレス）が僅差で続いた。
第2戦では予選セッションでマシントラブルに見舞われるチームが多かったが、ダブルヘッダーでの2戦目と言うこともあり、各チーム及びドライバーはコース攻略を進めて全台が無事にチェッカーを受けた。
全体のタイム差も比較的少なく、2連戦らしい接近戦になった。
予選レースでは、Aグループに配属されたRXRとX44が速さを見せて後続を引き離してバトルを行った。
最終的にはRXRがトップでチェッカーを受けてX44は7秒差で続いた。
BグループではスタートでサインツXEとチップガナッシが激しくを首位争いを演じ、後続は合流ポイントであわやクラッシュというシビアなタイミングで合流した。
トップのサインツXEのサインツを猛烈に攻め立てていたチップガナッシのルデュックだったが、ジャンピングポイントで姿勢を崩して大きくタイムロスを喫して4番手まで後退してしまう。
これで楽になったサインツXEはそのままトップを維持してチェッカーを受けた。
2位にはマクラーレン（ファウスト/ギルモア）が入った。
ファイナルセッション
決勝日は複数のレースセッションが行われた。
ファイナルの前に行われる3つのレースはファイナル以外のドライバーの順位を決めるものとなっている。
2つのセミファイナルはファイナルに進める2名のドライバーを決めるレースとなっている。
クレイジーレースはファイナルに進める1名のドライバーを決めるレースであり、敗者復活枠だ。
勝者を決めるための最終レースには、RXR（クリストファーソン/コツリンスキー）・アンドレッティ（ハンセン/ムニングス）・サインツXE（サインツ/サンス）・X44（ローブ/グティエレス）・ABT（アルアティア/クラインシュミット）の5台が並んだ。
スタートで先頭を取ったのはABTのアルアティアだった。
合流地点でなんとか先頭に立ったABTはそのままトップでドライバーチェンジを行うためにピットへ入る。
後続はRXRとX44が4秒差で続いていく接戦となった。
そしてこのドライバー交代で波乱が起こる。
トップのABTに乗り込んだクラインシュミットだったが、シートベルトの肩ベルトの一方が装着されていない状態となってしまい、そのまま走行を続けたことで安全規定をクリアしていないと判断されてペナルティを受け失格となった。
しかしレースはこの時点では継続しており、コース上ではバトルがあった。
RXRはピットアウト後にABTに迫るとウォータースプラッシュゾーンでインサイドを突いてトップに浮上して見せた。
X44もABTと最後までバトルを展開するが、自力でのオーバーテイクはなかった。
最終的に優勝を飾ったのはRXR（クリストファーソン/コツリンスキー）組。
2位にはX44（ローブ/グティエレス）が入り、3位にはアンドレッティ（ハンセン/ムニングス）となった。
失格となったABT（アルアティア/クラインシュミット）はファイナルまで出走を行ったもののノーポイントに終わってしまった。
関係者コメント
RXRのCEOであるニコ・ロズベルグは次のようにコメントした。
「このチームと一緒に仕事ができることは私にとって大きな喜びです。F1時代のことを思い出すくらい興奮しています。全員がベストを尽くし、絶好調で素晴らしいチームワークだった。2人のドライバーは信じられないほど高いレベルでパフォーマンスを発揮している。これ以上ないほど誇りに思う」
RXRのヨハン・クリストファーソンは次のように語った。
「とてもうれしい。予選がうまくいってスーパーセクターでもとても速く走れたので、この週末は驚異的なものでした。マシンのフィーリングはずっと素晴らしく、その点についてはチームに感謝しなければならない。彼らはとてもよく働いてくれて、それが報われた。私の走りは順調だったが、アルアティヤが信じられないほど速かったので僕はできるだけ彼に近づくように努めた。これは私たち全員が誇れるチームの成果です」
RXRのミカエラ・オーリン・コツリンスキーは次のように語った。
「これまでで最高のエクストリームEだった。すべてを分析し、さらにパフォーマンスを向上させようと努力しました。決勝では、トップを奪うオーバーテイクをするチャンスをうかがい、とてもエキサイティングでした。前日の第1レースで起こったことを考えると、優勝できて嬉しいですし、チームのためにも重要な勝利でした」
