エクストリームE 2022 第1戦 desert X-Prix ハイライト
サウジアラビアで開催されたエクストリームE2022年シーズンの開幕戦は、最後まで見応えのあるレースとなった。
昨年からスタートしたエクストリームEは、開催初年度からエキサイティングなレースを提供しており、2年目を迎える2022シーズンも注目されている。
開幕戦は昨年と同じ「Desert X Prix」として開催された。
開催国も昨年と同じサウジアラビアだが、開催地はアルウラからネオムに変更となっている。
Desert X Prixらしい砂漠地帯でのレースではあるが、去年のような埃っぽい路面と比べると固めの路面となる。
昨年のDesert X Prixは後方のマシンが砂煙によって視界を遮られたことで、最初の区間で前に出たマシンがそのまま勝つ展開となっていたため、固い路面の今年はよりバトルがしやすくなった。
また、コースの途中には岩場を通過するセクションも設けられ、バラエティに富んだコースセッティングとなった。
他のシリーズとは違う特殊なレースフォーマットを採用しているエクストリームEは、土曜日の予選タイムトライアル及び予選レースで、日曜日のレースの組み分けが行われる。
タイムトライアル、レース共にドライバー交代を1度行い、男女のペアが同じコースを1周ずつ走る。
ファイナルには5台が出場でき、セミファイナル1-2からそれぞれ2台と、敗者復活枠のクレイジーレースから1台が参戦できる。
また、定められた区間で最速タイムを記録したマシンには5ポイントのチャンピオンシップポイントが付与される。
昨年にあった予選セッションのチャンピオンシップポイントはなくなった。
予選セッション
予選タイムトライアルでは、昨年のチャンピオンであるRXR(クリストファーソン/コツリンスキー)が最速タイムを記録した。
2番手にはX44(ローブ/グティエレス)が入り、昨シーズンのチャンピオンを争った2台が速さを見せた。
今シーズンから参戦を開始したマクラーレン(ファウスト/ギルモア)は、初の予選セッションを7番手で終えた。
ABT(アルアティア/クラインシュミット)はトップ5に入れるタイムで来ていたものの、初参戦となるアルアティアがフィニッシュポイントの通過ミスを喫してしまい大きくタイムを失った。
2022シーズン初のクラッシュはベローチェ(ウールリッジ/GZ)だった。
前半スティントを担当したウールリッジはRXRやX44と互角の走りをし、後半スティントのGZにステアリングを託した。
GZはトップタイムを上回る好走を見せてコースの終盤に差し掛かったが、大きく左に回り込むコーナーでマシンバランスを失いスピンモーションに入り、そのまま砂に引っかかって横転した。
マシンは2度バウンドし、大きく損傷した。
クラッシュしたGZは怪我の影響で残りのレースを棄権することとなり、ベローチェチームもマシンの損傷が激しく、予選レースは見送って日曜日のレースへ向けて準備を進めた。
ファイナルセッション
日曜日は複数のレースセッションが行われた。
ファイナルの前に行われる3つのレースはファイナル以外のドライバーの順位を決めるものとなっている。
2つのセミファイナルはファイナルに進める2名のドライバーを決めるレースとなっている。
クレイジーレースはファイナルに進める1名のドライバーを決めるレースであり、敗者復活枠だ。
最後のシュートアウトは下位の7位から9位を決めるレースだ。
勝者を決めるための最終レースには、RXR(クリストファーソン/コツリンスキー)・X44(ローブ/グティエレス)・サインツXE(サインツ/サンス)・チップガナッシ(ルデュック/プライス)・マクラーレン(ファウスト/ギルモア)の5台が並んだ。
スタートでサインツXEが先行し、X44がそれに続く展開となる。
その後ろではRXRとマクラーレンが接近するが、砂煙で前が見えなかったマクラーレンがRXRのリアに接触し、バランスを崩して横転してしまう。
マクラーレンはここでリタイヤとなり、初のファイナルレースは残念な結果となった。
クラッシュの影響でレースは赤旗中断となり、ドライバー交代をした後、ピットエントリー時のタイム差で再スタートすることになった。
サインツXE、X44、RXR、チップガナッシの順でスタートしていき、RXRが徐々に前2台に近づく。
X44をストレートで捉えると、最後の砂丘前でサインツXEも交わしてトップに立ち、そのままチェッカーを受けた。
これにより、2022シーズン開幕戦の優勝はRXR(クリストファーソン/コツリンスキー)となった。
関係者コメント
RXRのヨハン・クリストファーソンは次のように語った。
「素晴らしい気分です。今年は競争が激しく、特にマクラーレンが参入してきたことでさらにハードルが上がっているように感じます。昨年は多くのことを学びながら戦い、今年はよりハードに働かなければならないと感じています。でも開幕戦で最高得点を獲得できたことはとてもうれしいことです。チームはコースの分析や他のドライバーの分析など、素晴らしい仕事をしてくれました。本当に感謝しています」
新たにRXRに加入したミカエラ・オーリン・コツリンスキーは次のように語った。
「この週末の戦術は、私がターン1をトップで通過できなかったら、前との差を広げられないようにするだけでした。決勝ではヨハンが10秒差を埋めることができると思っていましたが、見ていてとてもエキサイティングでした。ウェイポイント22で息が止まりましたが、勝てる自信がありました。私は初優勝なのでとても気分がいいですし、チームに入ったばかりでこのような成績を残せたのは嬉しいです。インシデントも多かったですが、それを回避してクルマを無事に届けられて良い週末になりました」