エクストリームE 2021 第5戦 Jurassic X-Prix ハイライト

エクストリームE 2021 第5戦 Jurassic X-Prix ハイライト

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チャンピオンをかけたエクストリームE第5戦が、イギリスのドーセット州にあるボビントンで開催された。

Cristina Gutierrez (ESP)/Sebastien Loeb (FRA), X44

今回の第5戦は、エクストリームEシリーズの初代チャンピオンを決めるレースとなった。
前戦ではRXR(クリストファーソン/テイラー)が優勝を果たし、チャンピオンシップのリードを拡大させた。
これにより、ランキング2位のX44(ローブ/グティエレス)に16ポイント差を付けており、大きなトラブルがなければチャンピオンがほぼ確実となっていた。
シーズンの優勝者を見るとワンサイドゲームな様相があるが、実際のスピード争いでは三つ巴と言える程激しい争いが起こっており、今回の最終戦でも激しい戦いを見ることができた。

コースは全体的にマッドコンディションになり、低いグリップレベルでのマシンコントロールが求められた。
これまでの開催地にあったような、砂/砂利の路面に追加で、粘土や泥が混ざった路面となった。
ウォータースプラッシュや沼のような路面のコンディションが大きく変わるエリアもあるため、コンディションに合わせた走りが求められた。
コースには高速のダウンヒルセクション、狭いツイスティエリア、広いオープンスペースが混在しており、多くのドライビング技術を必要とする。

他のシリーズとは違う特殊なレースフォーマットを採用しているエクストリームEは、土曜日の予選タイムトライアルと日曜日のレースでチャンピオンシップポイントをかけて争う。
タイムトライアル、レース共にドライバー交代を1度行い、男女のペアが同じコースを走り、その合計タイムで争われる。
今回は、予選で最初に走行するドライバーがコースを2周し、ドライバー交代後に1周する計3周で計測が行われた。

予選はタイムトライアル方式で2回に分けて行われた。

予選のアクション

予選1回目は、予選で圧倒的な強さを見せるX44(ローブ/グティエレス)がトップタイムを記録した。
先にドライブしたローブがトップタイムを更新する走りを見せ、グティエレスがそのリードを守ってタイムを記録した。
その後に走行したドライバーもX44のタイムを更新することはできずに、9分19秒台で一回目の予選を制した。
チャンピオンシップリーダーのRXR(クリストファーソン/テイラー)は、予選1回目を好タイムで終え、X44に続く2番手タイムを記録した。
タイム差は1.9秒と少なく、接戦となった。
3番手タイムで続いたのはサインツXE(サインツ/サンス)だった。
先にドライブしたサインツは、スタート後にドアが開くアクシデントに見舞われるが、冷静に対処して走行を続けた。
トップのX44から僅か2.7秒差を記録しており、優勝争いが期待できる速さを見せた。
そして4番手にはABT(エクストローム/クラインシュミット)が入り、こちらもトップから4.1秒差と非常に近いタイムだった。
これまでの予選と比較して最も接近した予選セッションとなり、最終戦での各チームの最適化が垣間見えた。

予選2回目もX44(ローブ/グティエレス)がトップタイムを記録して予選セッションを支配した。
タイムは9分14秒を記録し、どちらのドライバーも隙の無いドライビングを披露した。
シーズンの予選セッションを完全に支配したX44は、エクストリームEのシーズン1で最も速いチームと言えるだろう。
2番手タイムを記録したのはJBXE(ハンセン/コツリンスキー)で、X44からは4秒差であったが久々の予選上位を獲得した。
3番手タイムはサインツXE(サインツ/サンス)が記録し、予選1回目と同様に好位置に着けた。
チャンピオンシップリーダーのRXR(クリストファーソン/テイラー)は4番手で続き、セミファイナルはグループ2に分類されることとなった。
後続ではアクシデントも発生した。
アンドレッティ(ハンセン/ムニングス)のハンセンが走行中に、マッドセクション後の右コーナーを曲がり切れず木に衝突した。
クラッシュするまではトップと1秒差の好タイムを記録していただけに悔しいミスとなった。
その後も走行を続行できたものの、このタイムロスが響いてしまい8番手タイムに終わった。
また、チップガナッシ(ルデュック/プライス)にもアクシデントが発生した。
先にドライブしたプライスが走行を終え、ルデュックがコースインしてすぐにパワーステアリングが失われた。
重いステアリングとマッドコンディションの組み合わせは厳しく、大幅なタイムロスとなって9番手タイムに終わってしまった。

レースセッション

日曜日のレースセッションでは4つのレースが行われた。
ファイナルの前に行われる3つのレースはファイナル以外のドライバーの順位を決めるものとなっている。
セミファイナルは、セミファイナル1とセミファイナル2が行われ、ファイナルに進める各グループ上位2名のドライバーを決めるレースとなっている。
セミファイナル1は予選セッションの最終結果で1-5-6位のマシンが走り、セミファイナル2は予選セッションの最終結果で2-3-4位のマシンが走る。
クレイジーレースは予選下位だった7-8-9位で行われるレースであり、クレイジーレースの勝者はファイナルへ進出できるため、ファイナルは5台のマシンで行われることとなる。

クレイジーレース

ファイナルへの進出権が与えられたクレイジーレースは、事実上の敗者復活枠となる。
クレイジーレースでは、アンドレッティ(ハンセン/ムニングス)・チップガナッシ(ルデュック/プライス)・イスパノ・スイザ(ベネット/ゾンカ)がレースを行った。
スタートで前に出たアンドレッティのハンセンが序盤にリードを築く展開となる。
後ろではイスパノ・スイザのベネットがスタートで2位に着けるが、その後チップガナッシのルデュックがコーナーのアウトサイドから豪快なオーバーテイクを見せポジションを上げる。
そのままのポジションでドライバーチェンジを行い、アンドレッティとチップガナッシのタイム差は約3秒で女性ドライバー対決に移行する。
1周と短い距離であったが、チェッカー前の分岐エリアでチップガナッシのプライスが未開のルートを通り、チェッカー直前で真後ろに張り付く。
しかしオーバーテイクをするまでには至らず2位でチェッカーを受け、アンドレッティがファイナル進出を決めた。

セミファイナル1

セミファイナル1では、X44(ローブ/グティエレス)・JBXE(ハンセン/コツリンスキー)・ベローチェ(ウールリッジ/チャドウィック)がレースを行った。
スタートで前に出たのはJBXEのハンセンだった。
X44のローブは2番手でレースを進める。
3番手のベローチェは序盤にハーフスピンを喫して前の2台に離されたが、初参戦のウールリッジは見事なドライビングで後半に追いつき、ピットインのタイミングで3秒差まで詰めることに成功した。
トップ争いはピットイン直前まで激しく行われ、X44のローブが完全にペースでは勝っている状況であったものの、JBXEのハンセンはポジションを守って凌いだ。
ところが、ピットインで1秒以内の差であったため僅かな差でX44が先行し、トップを奪った。
その後は3台共危なげなく走行し、1位にX44(ローブ/グティエレス)、2位にJBXE(ハンセン/コツリンスキー)が入ったことで、この2台がファイナル進出を決めた。

セミファイナル2

セミファイナル2ではRXR(クリストファーソン/テイラー)・ABT(エクストローム/クラインシュミット)・サインツXE(サインツ/サンス)がレースを行った。
序盤でトップに立ったのはRXR(クリストファーソン/テイラー)だった。
2番手にはサインツXEのサインツとなるが、後ろのABTのエクストロームと接触があり、お互いのボディカウルにダメージが入った。
サインツのリアエンドはカウルが外れてバギーの様な見た目になり、エクストロームのフロントカウルはジャンプエリアでコース脇へ飛んで行った。
サインツXEのサインツはトップのRXRに迫る勢いでその後も走行を続けたが、ABTはマシンへのダメージがあったためか大幅に遅れ始めてしまい、ピット後は2分近い大差を付けられてしまった。
ABTが大幅に遅れたため、RXRとサインツXEはそのままチェッカーを受けてファイナル進出を決めた。

ファイナル

イベント勝者を決めるための最終レースには、X44(ローブ/グティエレス)・JBXE(ハンセン/コツリンスキー)・RXR(クリストファーソン/テイラー)・アンドレッティ(ハンセン/ムニングス)・サインツXE(サインツ/サンス)の5台が並んだ。
スタートでトップを奪ったのはX44のグティエレスだった。
スタート直後にハイパードライブを使用して一時的な追加パワーを得たことで先頭に出ることに成功した。
2位にはRXRのテイラーが着けてレースを進める。
女性ドライバー同士の戦いとなる序盤は、JBXEのコツリンスキーが激しく攻める。
高速セクションで危うくクラッシュしかけるがなんとか踏みとどまり、ジャンプエリアでRXRをオーバーテイクして見せた。
RXRのテイラーは、4位までに入ればチャンピオンが確定しているため安全な走行をした。
1周目を終える頃に、アンドレッティのムニングスもRXRを抜かしてポジションを上げる。
その後アンドレッティはハイペースでJBXEに迫り、ピットイン直前に並びかける。
しかし両者は僅かに接触して、アンドレッティのムニングスはブレーキングで体制を崩してスピンしてしまう。
ここで大きなタイム差がついてしまい、2位はJBXEが取った。
そして優勝はX44のローブ/グティエレス組が勝ち取った。
最終ラップを担当したローブも安定した走りで、JBXEとのギャップをコントロールした。
シーズンを通してファイナルでアクシデントに巻き込まれ続けていたX44だったが、ようやく本来の走りができたイベントとなった。

ランキング

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シリーズチャンピオンに輝いたのはRXRのクリストファーソン/テイラー組となった。
シーズンを通して安定した結果を残し、最終的には勝利数の差によってチャンピオンを決定させた。
今回でエクストリームEのシーズン1が終了した。
マシンの改善や新チームの参戦等、来シーズン以降が楽しみなシリーズだ。

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