ベストルーキーのニック・デ・ブリーズ

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開幕から3レースを終えた時点で、2度のトップ6フィニッシュを果たしたニック・デ・ブリーズは、ドライバーズランキングでルーキーとしては最高位に位置している。
技術的トラブルによりサンティアゴでポイントを逃したものの、メルセデスチームで存在感を出している。
ルーキーが苦戦するフォーミュラEチャンピオンシップで開幕戦からマシンに適応しているデ・ブリーズだが、この印象的なシーズンスタートの裏には数々の経験があった。

テストドライバーの経験

2019年12月1日にディルイーヤでフォーミュラEシーズンが開始され、第1戦と第2戦が続けて開催された。
デ・ブリーズは2019年にF2シーズンへフル参戦をしており、12月のフォーミュラEに参戦することは、F2シーズンの後半に決定した 。
参戦決定から数カ月の期間しか準備時間が取れないにもかかわらず、フォーミュラEレースに対してデ・ブリーズは十分な用意をすることができた。

現在24歳のデ・ブリーズは、2014年に「Spark Racing Technology」がGen1フォーミュラEカー(初代マシン)をテストするために声をかけ、すぐに受け入れた。
当時、デ・ブリーズはマクラーレンの若手ドライバープログラムに参加していたが、全く違ったEVレースカーのテストに協力した。
デ・ブリーズは「私はレースが好きで、レーシングカーに座っている感覚が好きです。」と語った。

複数のフォーミュラEチームでテスト

Gen1フォーミュラEカーを開発および最適化するために定期的なテストドライブに参加していたデ・ブリーズは、EVレースカーの特性や走らせ方を体験していった。
同時に、この貴重な経験はデ・ブリーズにとってフォーミュラE参戦を視野に入れる出来事となった。
次第にフォーミュラEは人気になっていき、F1に代わる選択肢としてデ・ブリーズは決断した。
2017年にアウディ、2018年にはヴァージンとNIO、そして昨年の夏はメルセデスベンツEQなどの多くのフォーミュラEチームがテストのためにデ・ブリーズに声をかけていた。

それもそのはずで、彼はレーシングドライバーとしての才能を長い間証明しており、2010年と2011年のカート世界選手権を制覇。
4輪にステップアップした後も、2014年のユーロカップフォーミュラルノー2.0で優勝。
現在、F1ドライバーとして優勝争いをしているシャルル・ルクレールと激しく争った。
2019年にはF2でドライバーズチャンピオンを獲得。
F2でのチャンピオンシップタイトルは、F1レベルのドライバーであることを物語っており、F2から次のステップへの準備が整っていることは明らかだった。

PARQUE O'HIGGINS CIRCUIT, CHILE - JANUARY 18: Nyck de Vries (NLD), Mercedes Benz EQ, EQ Silver Arrow 01 during the Santiago E-prix at Parque O'Higgins Circuit on January 18, 2020 in Parque O'Higgins Circuit, Chile. (Photo by Alastair Staley / LAT Images)

適応するのは簡単ではなかった

すでにF1チームのMercedes-AMGのシミュレータードライバーとして働いていたデ・ブリーズは、メルセデスにとって初のEVレーシングでレギュラードライバーになるという挑戦を始めた。しかし、始まりは簡単ではなかった。
当時のことをデ・ブリーズは振り返った。
「最初からマシンに適応することは非常に困難でした。フォーミュラ2カーとフォーミュラEカーの違いは大きいです。エンジン、ダウンフォース、タイヤ、トラック。全てがまったく異なる感覚です。レースとその背後にあるコンセプトも同じではありません。」
しかし、デ・ブリーズはチャレンジを断念することはなく、これまでのキャリアで培ってきた数々の経験を使い、前に進んでいった。
「私はまだ最高の状態ではありません。今はまだチャンピオンシップのルーキーであり、学んでいる最中です。改善する必要がある箇所がまだたくさんあります。レースマネジメントについては確実により良くできる分野の1つです。現在のフォーミュラEはエキサイティングに感じていますが、もちろんイライラすることもあります。」と率直に話した。
ルーキーシーズンとしてメルセデスのドライバーを務めるデ・ブリーズは、シーズンで最も成功したルーキーの一人としての地位を確立していくだろう。

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