フォーミュラE プレシーズンテストが終了
シーズン12に向けたフォーミュラE公式プレシーズンテストが、スペイン・バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットで幕を閉じた。
4日間にわたる全6セッション、計18時間の走行で、20名のフルタイムドライバーが合計5,474周を走破。
すべてのドライバーがGEN3 Evoマシンの感触を確かめ、多くの収穫を得ることになった。
最速のマヒンドラ
まずは、マヒンドラが大きな進歩の兆しを見せた。
シーズン11で5度の表彰台を獲得したマヒンドラ・レーシングは、さらに上を目指す体制を整えている。
最後の優勝は2021年ロンドンE-Prixでのアレックス・リンによる勝利だったが、チームは再び表彰台の頂点でインド国歌を響かせる日が近いと自信を見せている。
ニック・デ・フリースとエドアルド・モルタラの両ドライバーはこのテストでも高いパフォーマンスを披露。
モルタラは2セッションでトップタイムを記録し、火曜日午後の模擬レースでも最速をマークした。
チーム全体としても、良い手応えを掴んでいるようだ。
2人で合計533周を走破し、モルタラはテスト全体のベストタイムとなる1分21秒493を2日目に記録した。
新星の登場
今季唯一の完全な新人として参戦するのは、クプラ・キロのペペ・マルティである。
しかし、グリッドには新しい顔ぶれもいくつか加わった。
2022年のF2チャンピオン、フェリペ・ドルゴヴィッチは、アンドレッティに加入して元王者ジェイク・デニスのチームメイトとなった。
これがフォーミュラE初体験というわけではなく、以前にはルーキーテストや昨年ベルリンでのマヒンドラ代役出走も経験済みである。
今回のテストでも293周を走り、これはミッチ・エバンス（ジャガーTCSレーシング／294周）に次ぐ多さだった。
また、ジョエル・エリクソンも復帰を果たす。
すでに10戦のフォーミュラE出走経験を持つ彼だが、今季はエンビジョン・レーシングのフルタイムドライバーとしてセバスチャン・ブエミのチームメイトとなる。
マシン特性の大きく異なるGEN3 Evoへの順応が鍵となるだろう。
新人勢の中で最上位だったのはマルティで、総合タイムでトップ10目前に迫る健闘を見せた。
クプラ・キロのチームにすっかり溶け込んでおり、今季注目の存在である。
驚異的なラップタイム更新
軽量化・高剛性化が進み、オールホイールドライブ（AWD）による発進やATTACK MODE中のトラクション強化、グリップ力の高いハンコック製新タイヤの導入により、コーナリング性能も飛躍的に向上した。
こうした改良によって、タイムは昨年から大幅に短縮された。
シーズン10前のベストラップはミッチ・エバンス（ジャガーTCSレーシング）の1分24秒474だったが今回はモルタラが1分21秒493を記録し、約3秒速い結果となった。
新天地へ移籍した注目ドライバーたち
シーズン12を前に、多くのドライバーが新しいチームへ移籍した。
注目はニック・キャシディのシトロエン・レーシングへの加入、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタのジャガーTCSレーシング移籍。
そしてテイラー・バーナードがDSペンスキーへ、ニコ・ミュラーがポルシェへと移籍した点である。
この中では、バーナードが最速を記録し、総合3位にランクイン。
モルタラとの差はわずか0.007秒だった。
チームへの順応も早く、充実のスタートを切っている。
キャシディも、ジャガーのワークスチームから新設のシトロエン・レーシングへと移籍。
フランスの名門メーカーがフォーミュラEに挑む初年度ということもあり、そのパフォーマンスには大きな注目が集まっている。
日産が最終日にダブルトップで締めくくり
プレシーズンテスト最後のチェッカーフラッグが振られ、今年のプレシーズンテストが終了した。
最終日を盛り上げたのは日産フォーミュラEチームで、午前はノーマン・ナトが、午後は現王者オリバー・ローランドがそれぞれトップタイムを記録し、見事な形で締めくくった。
両ドライバーとも総合順位でトップ5に入り、マヒンドラ勢と並ぶ強力なタイム結果となった。
あくまでテストとはいえ、速さと信頼性の両面で好調をアピールした形だ。
ローランドは2026年も連覇を狙っており、日産にとって明るいシーズンの幕開けとなりそうである。
