フォーミュラE 2023 ROUND7 ベルリン E-PRIX 決勝ハイライト
フォーミュラE 2023シーズンの第7/8戦であるドイツ/ベルリンでのレースが開催された。
フォーミュラE世界選手権は、第7戦・第8戦としてダブルヘッダーのベルリンE-Prixを開催した。
ダブルヘッダーはチャンピオンシップポイントを大量に加算することができるため、各チームにとって重要な2連戦となる。
戦いの舞台となるのはドイツの首都であるベルリンだ。
コースが設定されるテンペルホーフ国際空港は、2008年で閉鎖されており現在は使われていない飛行場となっている。
ベルリンは、多くのドライバーがフォーミュラEでのレース経験があるコースだ。
カレンダーが大きく変更された2020シーズンのフィナーレとして6レースが行われたため、当時に参加していたチームやドライバーにとっては最も良く知っているコースとなる。
他の市街地コースと比べて少し変わった特徴的なコースでもあり、このコースの路面はコンクリートで作られている。
全体的には、オーバーテイクがしやすいが、テクニカルなでツイスティなエリアは波乱が起きやすく注意が必要だ。
2023シーズンはGen3マシンへと移行し、大幅にマシンパフォーマンスが向上した。
最大パワーの350kwを使用する予選はもちろん、決勝で使用されるパワーも大幅に上がり、Gen2の予選時よりも50kw多い300kwで争われる。
同時にブレーキの回生量も向上したが、Gen2時代と同様のバッテリー容量であるため、より効果的なエネルギーマネジメントが求められる。
予選では、2つのグループで行われるグループ予選で好タイムを出した上位4人がデュエルステージに進み、直接対決勝負が行われる。
グループ予選から熾烈なタイム争いが繰り広げられた。
グループAでは、チャンピオンのバンドーンが唯一の5秒台に入れてトップタイムを記録した。
そこに続いたのはエンビジョンの2台で、揃ってトーナメント進出を果たす。
チャンピオンシップ争いをリードしているウェーレインは8番手と振るわずに敗退となった。
グループBでは、ジャガーのバードがトップタイムを記録し、予選での速さを印象付けた。
マセラティのギュンターが2番手で続き、アンドレッティのデニスも4番手でトーナメントの最後の席を獲得した。
トーナメント予選では、0.1秒の僅差のバトルが行われた。
トーナメントファイナルはブエミ対バードとなり、ジャガーパワートレインの予選の速さを際立たせた。
最終的に、0.13秒差でポールポジションを獲得したのはエンビジョンレーシングのセバスチャン・ブエミだった。
2番手にはジャガーのサム・バード。
3番手はDSのストフェル・バンドーン。
4番手はNIOのダン・ティクタムとなった。
レーススタート
スタートで先頭をとったのは4番手スタートのティクタムだった。
直線の加速時はバンドーンが好スタートを切って先頭に出るかと思われたが、序盤でトップを走るデメリットが大きいと判断してポジションを維持する戦略をとった。
逆に、ティクタムはターン1のアウトサイドを攻めて走り、先頭のブエミを抜いてトップに立った。
ポールポジションのブエミもバンドーン同様に先頭を走ることのデメリットを熟知しているため、ティクタムからのアタックに対してあまり反応を示さなかった。
5周目、トップのティクタムと2番手のブエミが同時に最初のアタックモードを起動する。
それぞれ3番手と4番手で復帰し、ペースを上げないままポジションを維持した。
中盤のアクション
9周目、中団でのバトルを展開していたセッテ・カマラが最終コーナーでフロントウィングを破損する。
その後、1コーナーでマクラーレンのラストがセッテ・カマラに追突してしまい、両車はターン1で停車する。
この接触で最後尾まで落ちた2台は、共に戦線離脱となった。
12周目、トップのモルタラと2番手のバンドーンが同時にアタックモードを起動する。
しかし、その直後にコースのデブリ回収のためセーフティカーが出動となった。
レースが再開すると、トップのデニスがペースコントロールを行うが、後続はかなり接近した状態となって非常にリスキーが展開が続く。
18周目には最終コーナーでロッテラーがベルニュに追突してしまうアクシデントが発生し、20周目にはクラッシュが起こる。
ターン2でティクタムのアウトサイドから並びかけたバンドーンであったが、アウトサイドに膨らんできたティクタムに接触されてしまい、そのままウォール側へと押し込まれてクラッシュする。
このクラッシュで2台がリタイヤとなり、セーフティカーが再度出動する。
レース再開後、ペースを抑えるデニスを抜かして上位3台がジャガーパワートレインを搭載するマシンとなり、ジャガーの戦闘力の高さを証明する形となった。
終盤のバトル
31周目、ジャガーの上位独占を阻止するべく、追い上げを開始したポルシェパワートレインのマシン達だったが、アクシデントが発生する。
ギュンターを抜こうとしたデニスは、ターン6のブレーキングを遅らせて前に出ようとしたが、インサイドで止まりきれずにダ・コスタと接触する。
幸い、ダ・コスタは接触直前に回避行動をとってフロントウィング付近に当たるだけで大きなクラッシュとはならなかった。
39周目、上位4台の争いが激化する。
トップを先頭にジャガーの2台が続き、ギュンターがチャンスを狙う展開となる。
40周目、ファイナルラップのターン1でエバンスがインサイドからオーバーテイクを成功さえ、トップに立つ。
ターン6ではバードがブレーキを限界まで遅らせてブエミを抜いて2位へ浮上する。
そして最終コーナーで、ギュンターがアウトサイドからブエミをオーバーテイクして3位に浮上した。
優勝は、ファイナルラップのターン1でトップに立ったミッチ・エバンス。
2位は、ジャガーのサム・バードとなり、ジャガーが1-2フィニッシュを達成した。
3位は、最終コーナーで表彰台を獲得したマセラティのマキシミリアン・ギュンターとなった。