フォーミュラE リザーブと開発ドライバー
プエブラE-Prixでドラゴン/ペンスキーのレースシートに座ることとなったジョエル・エリクソンは、フォーミュラEのリザーブドライバーの重要性を証明する絶好の機会となる。チームの必要に応じてレースシートに座るだけでなく、彼らはどのような役割を担っているのか紹介する。
ほとんどのフォーミュラEチームは、フルタイムのレギュラードライバーが欠場した場合に備えてリザーブドライバーや開発ドライバーを選出している。
パンデミックが続き、病気になるリスクが高まっている現在は、特にその必要性が高い。
しかしリザーブドライバーの役割は、代役として出場するだけではない。
メルセデス-EQには、DTM界のレジェンドであるゲイリー・パフェットと元F1ドライバーのエステバン・グティエレスが在籍している。
また、NIO 333のリザーブドライバーにはフォーミュラEでジャガー・レーシングのドライバーを務めたアダム・キャロルが在籍している。
ジャガーには元NIOドライバーであるトム・ディルマンと、日本のF3チャンピオンであるサッシャ・フェネストラズが所属しており、テチータにはジェームズ・ロシターがリザーブドライバーであると同時にスポーティング・ディレクターを務めている。
マヒンドラ・レーシングのニック・ハイドフェルドはアドバイザーとして重要な役割を果たしており、リザーブドライバーの重要性について述べた。
「私は長い間、モータースポーツの世界に身を置いています。レースイベントでは注意深く物事を観察し、改善できそうなところをチーム代表にフィードバックしています。すべてが順調に進んでいれば、私は必要とされないのですが、フォーミュラEではそうはいきません。パンデミックの影響で誰かが欠席する可能性があり、経験のないドライバーがいきなり参加するのは簡単ではありません。フォーミュラEは非常に複雑で、特にエネルギーマネジメントが重要です。ダッシュボードにはたくさんのデータが表示され、さまざまな戦略があり、それをシミュレーターで再現するのですが、今はそれすらも難しいのです。しかしフォーミュラE経験がある場合は大きく変わってきます。基本的なことは分かっているし、それは数年前と変わっていません」
ポルシェチームには、シモーナ・デ・シルベストロの存在がある。
スイス人女性レーサーのシモーナ・デ・シルベストロは17歳でアメリカに渡り、フォーミュラBMW、フォーミュラ・トヨタ・アトランティックを経て、インディカー・シリーズに参戦した。
2010年に開催されたインディアナポリス500では「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、大きな印象を残した。
翌年のインディ500ではプラクティスで大事故を起こし火傷を負いながらも予選を通過したことで、ドライバーやファンの間でさらに高い評価を受け、「アイアン・メイデン」の愛称で呼ばれるようになった。
フォーミュラEでは、2014-15年シーズンにアンドレッティのマシンで出場し、翌2015-16年には10回の連続出場を果たしている。
その後はベンチュリーのテストドライバーとGTレースを両立させ、現在はタグ・ホイヤー・ポルシェの公式リザーブドライバーを務めている。
シモーナ・デ・シルベストロは以下の様にコメントしている。
「私はパスカル（ウェーレイン）やアンドレ（ロッテラー）がドライブできないときに、ドライブするための役職です。私はチームと一緒にサーキットを歩き、すべてのミーティングに参加して多くのことを学んでいます。フォーミュラEで厄介なのはテストがないことです。すべてはシミュレーターの中で行われており、シーズンが始まるとテストは行われません。私たちのシミュレーターは非常に優れており、高度なものなのでコースを知ることができますが、特にエネルギーマネジメントを理解することは難しいですね。他のレースシリーズとは全く異なります。また、ポルシェの一員としてドイツで開催されるGTマスターズに参戦していますが、これもまたエキサイティングで全く違うものになっています。今年はインディ500にも参加しました。6年ぶりのインディ500はとてもエキサイティングでした。私たちは皆とても仲が良く、一緒に仕事をするのが好きです。もし私にドライブする機会が来れば喜んでドライブするでしょう」
