フォーミュラE 2021 ROUND7 モナコ E-PRIX 決勝ハイライト
フォーミュラE 2021シーズン第7戦がモナコ市街地サーキットで行われた。
伝統のモナコ市街地サーキットはドライバーの正確なドライビングが求められるサーキットとして知られ、F1が行われるモナコGPは世界三大レースの一つだ。
フルコースのモナコ
4回目の開催とモナコE-PrixはフォーミュラEのカレンダーの中でも異色なサーキットだが、今年はレイアウトが変更されてフルコースでの開催となった。
フォーミュラE車両がGen2となり、バッテリー容量が増えたことでフルコースレイアウトを走行してもレースを走り切れるようになったからだ。
多くのフォーミュラEドライバーが走行経験のあるモナコ市街地コースのフルコースレイアウトは、フォーミュラEの開催されているコースのなかではオーバーテイクが容易な部類に入るため、多くのバトルが期待される。
また、他カテゴリーが開催されているコースと同じとあって、多くのファンがフォーミュラEマシンのスピードを他カテゴリーと直接比較することが可能となった。
しかし、フルコースでのレイアウトの中で変更されているコーナーがあり、ヌーベル・シケインの形状が大きく変化してよりタイトになっている。
前戦のバレンシア同様にバッテリー回生用により低速になるように変更が加えられた。
予選
予選は激戦となった。
スーパーポール進出をかけた予選セッションではヴァージンレーシングのフラインスがトップタイムを記録する。
スーパーポールに進んだ6名の中で最後に入ったのは日産のローランドだったが、そのローランドまでのタイム差は僅か0.2秒。
そしてトップタイムから1秒以内に入ったドライバーは22位のターベイまでとなり、大混戦の予選となった。
予選上位6名で行われたスーパーポールでは更に熾烈なタイム争いが行われた。
ポールポジションを獲得したのはディフェンディングチャンピオンのダ・コスタだった。
2番手には予選セッションでトップタイムを出していたヴァージンレーシングのフラインスが0.012秒差で続いた。
3番手はジャガーのエバンスとなったが、こちらもトップから0.051秒差の好タイムを記録した。
4番手はテチータのベルニュ。こちらもトップから0.059秒差となった。
5番手はBMWのギュンター。
6番手は日産のローランドとなった。
序盤から大混戦
初のフルコースレイアウトでの開催となった今年のモナコE-Prixは、平均速度や最高速度が上がったことでバッテリー管理が難しくなる。
そのため、序盤は前戦のバレンシアのような比較的落ち着いたレースになるかとも思われたが、レースが始まってみると大混戦となった。
トップ集団は1周目をポジションの入れ替えなく走ったが、中団で複数台が絡むクラッシュが発生する。
有名なモナコのヘアピンコーナーであるフェアモント・ヘアピンでマヒンドラのシムズがコーナー出口の外側のウォールにクラッシュ。
これでシムズは早々にリタイヤとなってしまう。
フラインスがリード
残り40分頃、フラインスがホームストレート上でダ・コスタに並び、ターン1でインサイドからオーバーテイクを成功させる。
その後はしばらくの間、上位勢はポジションを入れ替えなかったが、ダ・コスタのアタックモード起動で少し動き始める。
アタックモードを起動するためにコーナー外側のアクティベートゾーンを通過したダ・コスタは4位で復帰して前を追いかけることとなり、2番手にエバンス、3番手にベルニュとなる。
そしてそのラップのヌーベル・シケインでエバンスとベルニュがサイドバイサイドで侵入して両者共にアウトサイドに膨らみタイムロスをしてしまう。
その隙にダ・コスタが2台をまとめてオーバーテイクして2位に戻ってくる。
エバンスとベルニュのバトルはシケイン通過後も継続したが、エバンスがベルニュを抑えて前をキープした。
ベルニュはエバンスとのバトルでギュンターにも先行を許してしまい5位に後退する。
トップのフラインスはダ・コスタに反応してアタックモードを起動する。
これにより一時的にダ・コスタにトップを奪われるが、ダ・コスタのアタックモードが切れたタイミングでオーバーテイクして1位に返り咲く。
残り25分頃、今度はフラインスが先行でアタックモードを起動し2位で戻る。
そしてすぐにトンネル後の裏ストレートでダ・コスタを抜かしてトップ復帰となる。
ダ・コスタもアタックモードを起動するが、復帰のタイミングでエバンスと激しいポジション争いを行いなんとか3位で戻ることに成功する。
その後、アタックモードを終えたチームメイトのベルニュを抜かして2位に上がると、トップのフラインスのすぐ後ろまで追いつく。
そして残り16分頃、ファンブーストを使用してヌーベル・シケイン前でフラインスをパスしトップを奪う。
ホームストレートに戻ってくるとアタックモード中のエバンスがフラインスを抜かして2位に浮上してくる。
勢いをそのままに、上り坂のボー・リバージュでダ・コスタをもオーバーテイクし一気に1位を奪取する。
一方そのころ、アウディのラストがターン1でウォールに接触してマシンを止めてしまう。
ダメージが大きくリタイヤとなり、コース上にマシンが止まっていたためセーフティカーが出動する。
残り6分のスプリント
セーフティカーが解除されてレースが再開されたのは残り6分頃となり、ここからスプリントレースが始まる。
トップのフラインスは懸命にダ・コスタのからのアタックを阻止し続け順位を守る。
ダ・コスタは何度かブレーキングで仕掛ける動きをするが中々並ぶことができず、逆に3位以下のマシンが接近してくる難しい展開になる。
ファイナルラップに入りエバンスがリードを続けるが、ダ・コスタはすぐ後方でプレッシャーをかける。
そして遂に、トンネルを抜けた先のヌーベル・シケインでのブレーキングでダ・コスタがエバンスをアウトサイドからオーバーテイクする。
タイヤをロックさせながらではあったものの、コーナーをしっかり曲がりトップに立った。
ダ・コスタはそのままトップでチェッカーを受けてモナコでの勝利を手にした。
2位争いは最後のストレートで逆転劇があり、バッテリー容量オーバーをしないようにアクセルを抜いたエバンスの外側からフラインスが刺し2位を獲得した。
3位は最後の最後に順位を落としてしまったエバンスとなった。