フォーミュラE 2021 ROUND6 バレンシア E-PRIX 決勝ハイライト
フォーミュラE 2021シーズン第6戦がスペインのバレンシアで行われた。
完全常設サーキットを利用したE-PrixはフォーミュラEでは非常に珍しく、各チームは通常とは異なる戦術やドライビングを求められる。
戦いの舞台となるリカルド・トルモ・サーキットはフォーミュラEのプレシーズンテストでも利用されているため、今シーズンを戦う12チームすべてに走行データがある。
レイアウトはフルコースではなく、コース途中でショートカットを行う直角コーナーや、ホームストレート途中に設置されたシケイン等がある。
市街地コースと比べてアベレージスピードが非常高いため、特設のシケインを設置してバッテリーチャージができるようにしている。
また、今回も土曜日と日曜日にレースを行うダブルヘッダーでの開催となる。
予選はセミウェット状態で始まった。
通常通りに、ポイントランキング上位のドライバー達のグループ1から走行を開始し、各グループが走行をする度に路面コンディションは改善していった。
ローマE-Prixの時と同様に、予選で上位を獲得したのは後半グループのドライバー達であった。
予選上位6名で行われたスーパーポールでは、今シーズンからBMWでフォーミュラEを戦うデニスが初のポールポジションを獲得した。
2番手には第5戦で精彩を欠いていたポルシェのロッテラーが入った。
3番手は予選での好調が続くマヒンドラのリン。
4番手、5番手にはNIOのブロンクビストとターベイが続く。
6番手はベンチュリのナトとなった。
日産はローランドが8番手、ブエミが9番手となり上位を狙えるポジションからのスタートとなる。
ロッテラーは前戦のモルタラとの接触によるペナルティを受け、5番手からのスタートとなった。
久々のスタンディングスタート
フォーミュラEのスタンディングスタートが久々に戻って来た。
スタートと同時に上位でも順位が多少変動した。
2列目からスタートしたNIOの2台がポジションを入れ替えターベイが先行しブロンクビストが一つポジションを落とす。
その後ろの3列目でもポジションが変わり、5番手スタートのロッテラーがナトに先行を許す。
ターン2のブレーキングでの攻防で4番手のブロンクビストがホイールをロックさせて大きく膨らみ、その隙にナトが4番手に浮上する。
1周目以降はデニスを先頭に長い隊列が続き、ほぼ全員がバッテリーの消耗を気にしながら慎重なレース運びをする展開となる。
ターン9では時折中団のポジションが変わるオーバーテイクが行われた。
アタックモードで動く
30分を切った頃、ターベイのアタックモード使用で上位に少し動きが出てくる。
全開区間が長い今回のサーキットではアタックモードでのオーバーテイクが比較的楽にできる反面、バッテリー残量を十分に残せなくなるリスクがある。
上位で最初にアタックモードを使用したターベイは一時2位まであがるが、ライバルもアタックモードを起動したため、十分なペースアップができなくなった。
アタックモードを失ったターベイの後ろからはロッテラーがアタックモードで接近しすぐにパスしていく。
残り17分頃、4番手をロッテラーとラストが争っているタイミングで、2位を走行していたリンが後方からナトに追突されバランスを崩してしまう。
リンはこの接触によるタイムロスで6位までドロップしてしまい優勝から遠のいてしまう。
その後、アタックモードを起動するためターン8のアウトサイドを走りターン9に侵入する際、ブエミとサイドバイサイドとなる。
アウトに膨らんだブエミのインサイドに入って来たバンドーンはブエミは接触してしまい、イン側のバリアに挟まれる形でクラッシュする。
このアクシデントでバンドーンはリタイヤとなる。
最後までエネルギー管理
残り時間が少なくなってきたところで、ギリギリもう一周するか微妙なタイミングとなり、トップのデニスはそこを上手くコントロールした。
上位5台が接近していた状況ではあったが、ファイナルラップも危なげなくポジションを守り初優勝を達成した。
もう少し早いペースで周回していた場合、もう一周必要になっていたことを考えると最も理想的なペースで周回していたことになる。
デニスはポールポジションと予選セッションでのポイントも獲得して29ポイントの大量得点となった。
2位には決勝ペースの速さを見せたロッテラーが繰り上げで入った。
3位は中盤の接触から見事に挽回して見せたリンが獲得した。
4位は日産のローランドが獲得した。
2位でチェッカーを受けたナトは、リンへの接触によるペナルティで5位となった。