ROUND5 マラケシュ E-PRIX 決勝ハイライト
フォーミュラE 2019/2020シーズン第5戦がモロッコのマラケシュで行われた。
モロッコの中では第4の都市であるマラケシュは、モータースポーツ文化が盛んなアフリカ大陸北西の都市である。
ヨーロッパから近いため、文化交流の長い歴史がある。
また、マラケシュの旧市街は世界遺産に登録されているため、国外から観光客も多く訪れる。
前戦のメキシコよりは過ごしやすい気候になっているが、コースには多くの砂が乗っておりライン取りを間違うとグリップを失ってしまうリスクが非常に高い。
予選では最近好調なテチーターのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタがポールポジションを獲得した。
連続表彰台を継続してチャンピオンシップを大きくリードするチャンスとなった。
2番手には0.06秒差でBMWのマキシミリアン・ギュンター。
3番手には0.09秒差でポルシェのアンドレ・ロッテラーが続いた。
4番手はベストルーキーのメルセデスドライバー、ニック・デ・ブリーズ。
5番手はベンチュリーのエドアルド・モルタラ。
6番手は日産のセバスチャン・ブエミとなった。
ベルニュの素晴らしい追い上げ
スタート後の1コーナーは昨年、トップ争いをした2台が絡み後方が大混乱となった場所だが、今年は各マシンが順位を大きく変えることなく通過していった。
上位勢は3番手スタートのロッテラーがデ・ブリーズにパスされ順位を一つ落とした。
中団では現チャンピオンであるテチーターのベルニュがハイペースで追い上げを開始し、次々に上位マシンをオーバーテイクしていく。
気が付けば上位勢までも攻略し始め、3番手のロッテラーとバトルを展開しるところまで上がってきた。
トップ争い
残り25分頃、トップ争いをしているダ・コスタとギュンターが接近する。
ギュンターはホームストレートでアウトサイドから並び、1コーナーのブレーキングで前に出て首位に立つことに成功した。
しかしダ・コスタも離されずに背後に付いたまま走行を続けた。
残り20分を切ったタイミングでダ・コスタが先に動きを見せ、アタックモードを起動する。
3番手を走っているロッテラーと並びながらアクティベーションゾーンから戻ったダ・コスタは、ギリギリで2位を死守することができた。
アタックモードの追加パワーによってギュンターに再接近したダ・コスタは、裏ストレートで難なくギュンターをかわしてトップに返り咲く。
次の周でギュンターもアタックモードを起動してダ・コスタの逃げ切りをなんとか阻止しようする。
その後方では3番手争いをしていたベルニュがロッテラーを攻略して表彰台圏内に入ってきた。
バッテリーマネジメントの差
レースの残り時間が10分を切り終盤に入った頃、2位のギュンターに現チャンピオンであるベルニュが接近する。
アタックモードを利用した最後の勝負を仕掛けたベルニュは、ホームストレートでインサイドに並ぶとそのままギュンターをパスして2位に浮上し、テチーターは1-2体制となる。
しかしギュンターは逆転を狙い果敢に攻める。
背後からの激しいプレッシャーを受けたベルニュだったが、ファイナルラップまで2位を死守し続ける。
テチーターの1-2フィニッシュとなるかと思われたが、最後の裏ストレートでバッテリー残量をマネジメントする必要のあったベルニュをギュンターがパスして2位が逆転した。
チェッカーを受ける頃には上位勢のマシンはバッテリー残量が0%台とギリギリの戦いだった。
優勝はポールtoウィンを達成したテチーターのダ・コスタ。
ギュンターとのバトルを制してからは他を寄せ付けなかった。
2位には最後にポジションを挽回したBMWのギュンター。
3位は後方からの挽回で熱いバトルを数多く展開したテチーターのベルニュとなった。
絶好調のダ・コスタ
マラケシュでのレースをポールtoウィンで飾ったダ・コスタは、サンティアゴとメキシコシティの連続表彰台から続き、3連続表彰台を達成した。
ポールポジションの3ポイントが加わったことで、28ポイントを獲得したダ・コスタはチャンピオンシップリーダーとなり、2位のエバンスに11ポイント差を付けた。
ここ3戦の獲得ポイントは64ポイントとなり、圧倒的な急上昇率を記録した。
また、今回はチームメイトのベルニュも好走を見せて3位表彰台を獲得したことで、テチーターはダブル表彰台で大量ポイントを獲得することとなった。
今シーズンもテチーターの競争力の高さは継続されていることを示す結果となった。
これまでのところ、BMW対テチーターの情勢が多くなってきており、そこにジャガーのエバンスが加わる形でチャンピオンシップが進んでいる。
チームランキングでもテチーターが首位に浮上し2位にBMWが着けた。
以下、ジャガー、日産、メルセデスと続く。