フォーミュラE バードがマクラーレンとの戦いを振り返る

フォーミュラE バードがマクラーレンとの戦いを振り返る

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フォーミュラEで長年にわたり活躍してきたサム・バードは、シリーズの“オリジナルドライバー”のひとりであり、最多出走・最多勝利ドライバーの一角を占める存在だ。
そんな彼にとって、この2年間のNEOMマクラーレンでの時間は、特別な意味を持つものとなった。

幼少期をマクラーレン・レーシング本社のほど近く、イギリス・サリー州ウォーキング近郊で過ごしたバードにとって、マクラーレンは常に憧れのチームだった。

「サリー生まれの私にとって、マクラーレンは“地元チーム”でした。本当に家から数マイルしか離れていなかったのです。子供の頃、ウェスト・バイフリートに住んでいたときに本格的にレースに夢中になり、ずっとマクラーレンの一員になりたいと思ってきました。ですから、このカラーを身にまとい、この名前を胸に刻むことは夢の実現でしたし、大きな誇りでもあります」

NEOMマクラーレンでの日々は、地理的な近さだけではなく、人とのつながりも大きな支えとなった。
かつてエンヴィジョン・レーシング時代からのレースエンジニアであるスティーブン・レーンや、クリス・ブラウンと再会したことも心強かったという。

「スティーブンやクリスのような仲間と再び一緒に仕事ができたことは本当に特別でした。彼らは長年私と共に戦ってきた信頼できる存在です。NEOMマクラーレンが彼らを採用しているのは、単に縁があったからではなく、彼らがこの仕事において最高の人材だからです」

チームには新たな風も吹き込まれた。
シーズン10でリザーブ兼開発ドライバーを務めたテイラー・バーナードが、シーズン11から正規ドライバーとして昇格。
38歳のベテランとルーキーのコンビが誕生した。
経験豊富なバードは若き才能を導く役割を担い、その成長ぶりを誇らしげに語る。BA017736_8eXVUuUo_20250724032105

「テイラー・バーナードは“衝撃的な存在”でした。私だけでなく多くの人が、彼をフォーミュラE史上最も印象的な新人と見ていると思います。無名の状態からここまでの速さを示し、世界の舞台で名を轟かせたルーキーは、これまでいなかったでしょう。彼は本当に非凡な才能の持ち主です」

NEOMマクラーレンでの大きなハイライトのひとつが、シーズン10のサンパウロE-Prixだった。
バードは劇的な最終ラップでトップに立ち、チームにとって初となるフォーミュラEでの勝利をもたらした。
自身にとってもシリーズ12勝目という節目の一戦となった。

「その瞬間は本当に素晴らしかったです。長いキャリアでいくつもの勝利を経験してきましたが、あの時は特に特別でした。マクラーレンというビッグチームに初勝利を届けることは重要な意味を持っていたのです。振り返ってみると、チーム全員が待ち望んでいた瞬間であり、私も大きな誇りを感じています」

その後もバードは複数回の表彰台に登壇し、バーナードもシーズン11で5度の表彰台を獲得。
2人合わせて数々の好成績を収めながらも、惜しくも2勝目には届かなかった。

「テイラーには勝利がふさわしかったと思いますし、私たちのガレージももっとトロフィーを獲得するべきだったと思います。結局勝利は一度だけでしたが、あの日は忘れられない記憶になりました。これは私個人の勝利ではなく、チーム全員の勝利です」

NEOMマクラーレンがフォーミュラEから撤退する中、バード自身の将来も不透明となっている。
しかし彼は”まだ終わりではない”と強調する。

「終わったとは言っていません。ここまで11年で12勝、27回の表彰台を経験できました。フォーミュラEは、かつてキャリアの行き詰まりを感じていた自分に新たなチャンスを与えてくれた場所です。本当に素晴らしい旅路でしたし、まだ続いてほしいと思っています」

彼はこのシリーズで仲間を得て、笑い、涙し、そして歓喜を味わった。
数々の思い出の中でもサンパウロでの勝利は特別な意味を持つと話すが、すべてがかけがえのない瞬間だったと振り返る。
長いキャリアの中でなお、マクラーレンでの2年間は新たな成長の場でもあったという。

「このチームで学んだのは、レーシングスピリットとは何かということです。全員が心血を注ぎ、最高のプロ意識で取り組んでいる姿を見て、本当に驚かされました。結果は厳しいときもありましたが、人として得た経験は何物にも代えがたいものです」

「マクラーレンで走ることは長年の夢でしたし、実現できて本当に幸せです。この名門チームの一員であったことを一生誇りに思います。どんな時も全力を尽くしましたし、これからもマクラーレンを最高のチームとして敬意を持ち続けます」

出典:https://www.fiaformulae.com/en/news/756312/the-formula-e-veteran-who-lived-a-dream-bird-reflects-on-his-time-with-neom-mclaren

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